72日目

ゆっくりとドラゴンの背から降り立つと足裏が燃えるように熱く、生き物は顔を歪めた。

辺り一面灼熱に包まれた地獄絵図。

谷の美しさからは全く想像ができない程、地上は、荒れ果てていた。

枯れ木の一本も経っていない。

猫はというと、だから言ったのにという顔で生き物を見詰めていた。

生き物は燃えるような足をゆっくりと進めていく。

きっとここだけだ。場所を変えれば美しい場所もあるはずだ。

生き物が縋るように歩くのを見て、ドラゴンは生き物の首根っこを咥えて釣りあげた。

まるで親猫が子猫を運ぶように器用に咥えられて生き物は唖然とする。

生き物の気持ちを汲んだのか、ドラゴンは左目をパチリと閉じた。

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