71日目

その日、生き物は寝不足の目を擦りながら猫に促されてドアを開けた。

沢山の荷物を抱えて、リュックをパンパンにした生き物と猫を背に乗せて、ドラゴンはいつもより体が重そうに飛び上がった。

まっすぐ上がる能力はないらしく、ゆっくりと斜め上に上昇していく。

早朝のキラキラした光の粒が毛先を撫でていくのを感じて、生き物は目を細めた。

徐々に上昇していく体を不思議に思いながら、生き物はドラゴンの背びれを握り締めた。

ここで落ちたら一貫の終わりだ。

猫はというと馴れた顔でドラゴンの狭い額で丸くなっている。

地上に近付く程、体が妙に熱く感じる。じりじりと熱を帯びてくる。

割れ目からドラゴンが顔を出し、視界が地面と平行になった時、生き物はその風景を見て息を呑んだ。

それは生き物が想像していた姿とは違っていた。

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