49日目

小屋の中には、布の切れ端が沢山積み上がっている。

どうやら満足いくドレスが作れなかったらしい生き物は、ぷいと不貞腐れて布団に横になっていた。


人形たちの綺麗なガラスの瞳は、そんな生き物を慈愛の瞳で見詰めている。


人間の世界なら、きっと綺麗なドレスがいっぱいあるのだろう。

生き物の脳裏を本で見た色鮮やかで、煌びやかなドレスがよぎる。

ふわふわのレースが沢山入って膨らんだドレスはきっと二体に似合うはずなのに。


生き物にはそれを作る技量がなかった。そして、知識もなかった。あの構造の名前も知らない。


ゆっくりと生き物が顔を窓辺に向けると、太陽光を背負って人形たちが笑っていた。

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