47日目

その日、生き物は谷の底のゴミ捨て場に人形を二体見つけた。

青いガラス玉が入った綺麗な瞳は谷の底の光を反射して、きらきらと輝く宝石の様だ。中に枯れない花びらが埋め込まれている。

二体の人形の埃を払い、綺麗なブロンドの髪を梳かしてやる。

人形には詳しくないが、これはずいぶんと愛されていた人形なのだろうと感じた。

生き物は二体の人形をぎゅっと優しく抱きしめて、巣に連れて帰ることにした。

二人はきっと姉妹なのだ。離れ離れにするのは心苦しい。

ゆっくりと歩き出す生き物の手の中で人形たちは笑っているように見えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る