24日目

今日は朝から黄色の花弁を広げる花の根を煎り、ひいた物をドリップする生き物の姿があった。

生き物の手元の古文書のように古い本には掠れながらもなんとか読める字で「タンポポコーヒー」の8文字が躍っている。

きっとこれを作っているのだろう。

生き物は部屋中に広がる香ばしい香りを鼻孔いっぱいに吸い込み、満足そうに息を吐いた。


今日は朝から機嫌がいい。


生き物は朝日が昇ると共に起きて、夜は日が暮れると共に眠る。

今日は、朝、とても清々しく起きられた。昨日の労働の効果もあったのだろう。

疲れは快眠を呼び寄せ、快眠は健やかな覚醒をもたらす。


ドリップされたコーヒーを花をひくひくさせながら口に含むと、生き物の全身の毛は逆立った。


これは黒い味だ!


ぞわぞわと揺れる毛を撫でて整えながら、生き物は、砂糖へと手を伸ばして一さじたっぷりコーヒーに入れた。

耳を残念なほど耳を垂れさせる生き物は、恐る恐ると砂糖入りのコーヒーを口に含んで、まあるく茶色になった味に満足していた。

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