第50章 決死の脱出劇④
シールドが消えた空が見える。もうすぐ核弾道の雨が襲ってくる! ゲバラたちは必死に逃げた。ドッゴーン!! 凄まじい核爆発の爆風と熱風に襲われた。超高熱の爆風は、獲物を逃したりはしないぞ! とばかりに機に襲い掛かり、激しく揺さぶった。
「フランシスコ! 操縦を代われ」
ゲバラは声を張り上げ、操縦を引き継ぎ、襲い掛かる爆風をかわし続けた。
バリバリバリ! 機体が激しく揺れて、いまにも壊れそうだ。ゲバラは懸命に操作して襲い掛かる爆風から逃れ続けた。しばらくして揺れが次第に収まってきた。機体を熱風に呑み込もうとしていた黒煙も途切れてきた。そして前方には、雲の合間から青空も見えてきた。
「もう大丈夫だ」
ゲバラは安堵した声を落とした。
「まったく、すごい神業だぜ。ゲバラ、あんたにしかできない芸当だ」
操縦席の背後にやってきたユーリーが、ホッとしたような声を飛ばしてきた。
ゲバラは空に眼をやった。大王とガイガーの戦闘機は見当たらなかった。だが発砲音は聞こえている。ここからかなり離れた場所で、まだ空中戦は続いているようだ。
ゲバラは機を反転させた。逃げてきた方角に向かった。ガイガーは死んだのか? 確認するためだ。黒煙がゴーゴー! と立ち込める大地を見渡した。森林が点在していた大地は見る影もなく、深く抉られていて巨大なクレーターのような姿に様変わりしていた。
そのクレーターのセンターを眼にして、ゲバラは愕然とした。
あの尖塔は傷一つなく、そのままの姿で建っていた。
「ゲバラ、まだ建っているぞ」
ユーリーが失望の声を上げてきた。
「ああ、あの塔の周りに別のシールドがあったんだ。シールドは2層になっていた」
ゲバラは平静な口調で返した。だが、腹の中は違った。歯ぎしりしていた。
改めて竜司の仇を打ちに、このまま尖塔に向かいたい思いが沸いていたが、ぐっと我慢した。いま、行けば返り討ちにあうのは、火を見るよりも明らかだからだ。
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