第28章 3年前⑩

 竜司は背後に眼をやった。護衛隊の戦闘機が10機、20機と戦闘機を撃破しても数がものをいった。だが護衛隊も、数に圧倒されて次々と撃破されていった。このままでは、自分が乗る機も、やられるのは時間の問題だった。


「みんな、敵の真ん中に突っ込むぞ!」

 ユーリーが周りを護衛する生き残った8機に指示した。


 それは集中砲火を浴びる自殺行為のような行動だが、ユーリーには狙いがあった。

 同士討ちさせるためだ。


 案の定、ユーリーの巧みな操縦で的を外れたレーザー弾が、反対側にいる戦闘機を破壊した。だが、護衛機も無傷ではいられなかった。次々と撃墜されていった。残ったのは、竜司が乗る1機だけになった。


 生き残れたのは、ユーリーの巧みな操作技術以外にも、他にも理由があることを竜司は悟った。

 ガイガー軍の狙いは、自分を生け捕りにすることだと。

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