第27章 俺の息子⑤

 俺は息をのんで、映像を見ていた。


「米国が完成させたAIはガイガー、中国が完成させたAIは大王という名前を名乗っています。ガイガーと大王は、両国の世界制覇の野望をそっくり引き継いで相手国を滅ぼす計画を進めていましたが、アメリカ、中国だけでなく世界を滅ぼしました」

 竜司は悲しい顔をしたまま、また一呼吸置いた。


「ガイガーと大王は、人間は地球にとって、有害な生き物だと結論付けたのです。動物は生きるために捕食しますが、人間は違う。戦争、テロ、殺人だけでなく地球の環境さえもレイプする人間に代わって、彼らは地球をAIの星にすることを決めました」

 俺はその説明に妙に合点していた。


 ガイガーとやらたちが、アメリカや中国を滅ぼさなくても、どこまでも腐りきった政府なら、誰もが倒そうと考えるだろう。


 だが、人類そのものを滅ぼすことには、到底、合点できない。


 竜司のだんだんと熱を帯びた強い口調からして、思いは俺と同じなのだろう。その顔には、ガイガーたちへの怒りも混ざっているようだった。


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