第22章 地底基地⑤
ここは太陽光が完全に遮断された地底なのに、色とりどりの美しい花々や緑豊かな熱帯の植物が生えていて、植物園と未来の科学館が融合したかのような、摩訶不思議な空間が続いていた。
そこには、男女の成人たちに混ざって、驚いたことに少年少女たちもいた。小中学生と思われる10数人の子供たちは、それぞれのグループ単位にわかれてなにやら作業をしていた。それと、あの囚人のような男たちと違って、笑顔を零しあいながら。子供は人間? それともヒューマノイドなのか?
「あの子供たちは?」
俺は子供たちに眼をやったまま訊ねた。
「大人に人間はいないけど、あの子たちは、人間よ。中には違う子もいるけどね」
アリーナは子供の誰かと眼があったのか? 少しニコッとして答えてきた。
「人間の子供?」
俺は驚いた声で応じた。
「ええ、そうよ。二人の子は、わたしと同じヒューマノイドだけど」
人間の女性のような眼差しを子供たちにおくりながら答えてきた。
「さ、時間がないわ」
アマールは眼を前に戻して答えると、また歩き出した。
どうして? ここに人間の子供たちがいるのかを訊こうとしたが、彼女が足早で歩いていくので、後に従った。
「あそこにいたのは、孤児になった子供たちよ。わたしたちの仲間が助け出して、ここに連れてきたの」
アマールが歩きながら説明してきた。
子供たちは俺と同じように、助けられたということか。だが、なぜなんだ? なぜ? ヒューマノイドたちが、人間を助けるのだ? と頭には、疑問が湧き続けていた。
「どうして? 俺たち人間を助けるんだ?」
前を歩く背中に、問いかけた。
アマールが立ち止まり、振り向いた。
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