第22章 地底基地②

 富士山のような円錐形の頂も見えてきた。山頂に近づくと火口内も見えてきた。黒煙は上がってはいないが、やっぱり海底火山だった。


「え! 嘘だろ?」

 俺は口の中に声を零した。


 嫌な予感がした。その予感は当たった。円盤は火口を目指していた。死火山でも火口底にはマグマが溜まっている。この機体が頑丈だとしても、とてもマグマの超高熱に耐えられるとは思えない。そんな心配など無視するかのように、カストロは火口底に向かって、ゆっくりと降下していった。


「あそこの下には高熱のマグマ溜りがある」

 思わず声を上げた。


「大丈夫よ。この円盤は、マグマで溶けたりはしないわ」

 アマールの言葉に、少し安心した。


 円盤は大丈夫でも、機内の温度はどうなる? いまも全然涼しくないし、そもそも外気の高温に備えて機内にエアコンは装備されているのか? おまえたちと違って、俺は生身の人間だぞ!


 そんな抗議など、当然相手にされず、円盤はマグマがぶくぶくと湧き上がる火口内に、ダイブしていった。窓から見えるのはマグマだけだ。おい危ないだろ! 窓のシャッターぐらいは閉めろよ!! 窓からマグマが侵入したらどうするんだ? 俺は思わず、胸の中で怒鳴った。


 だが俺の不満など、まったくお構いなしにマグマ内を潜水艦のように突き進んでいた。ひどく心配した窓の隙間からのマグマの侵入もなく、窓が溶けることもなかった。



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