第21章 予想外の仲間⑧
「ごめんなさい。わたしたちのために」
アマールが泣きそうな声で言うと、眼が赤くなっていた。
「いったい、あの爆発はなんなのだ?」
答えは容易に予想できたが、改めて確かめようと訊いた。
「相手の数が多すぎて、逃げきれないと判断して自爆したの。こうなることも予想して、戦闘機には超重元素爆弾を積んでいた。それを爆発させた」
まだ空を赤々と燃やしている煙を見たまま、ひどく悲しそうな声で説明してきた。
その説明に、強い衝撃を受けた。まさか俺を助けるために自爆するなどとは、まったく考えてもみなかった。
「レーダーに映っていた敵の数は50体を超えていた。いくら彼らが優秀でも、6機では勝ち目はないし、逃げることもできない。俺たちだけでも逃がそうと自爆した」
カストロが説明を継ぎ足すと振り向き、消えていく爆煙に瞳を注いでいた。
その見つめる眼も、暗かった。涙こそ滲ませてはいなかったが、心情はアマールと同じなのだろうと思った。
二人の言葉を耳にして、俺の心は通夜のように暗くなった。彼らは自分の命さえも犠牲にしてまで、なぜ? 俺を助けるのだ? その理由がさっぱり思い浮かばなかった。
ただはっきりしていることは、俺を助けてくれた、という重い事実だ。ここにいる二人も。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます