第16章 生死をかけた脱出④

 相手が5人では、いくら女が射撃の名手だとしても、勝ち目はないだろう。1人で何十人も格好よく倒すアクション映画と、現実の世界は違うのだ。


 俺はロボットたちに気づかれないよう、息を殺した。だが、無駄なあがきだった。いくら息を止めたつもりでも、完全に止めることなどできない。鼻から出る熱をロボットたちは感知したようで、発砲できる態勢をとって向かってきた。すると女がすかさず射撃の低い体勢をとり、ロボットたちに向かって発砲した。レーザーが2体のロボットに命中した。ブシュ! ブシュ! という双方の発砲音が、俺の目の前で飛び交った。ロボットたちも一斉に反撃してきたのだ。激しく飛び交うレーザー弾。隠れた配管や手前の床、周りの壁が抉られて破片が周りに飛び散った。


 激しい銃撃戦から身を守ろうと、俺は小亀が甲羅に頭を縮めるかのように、配管の床に潜り込まんばかりに身を沈めた。ここで俺は死ぬかもしれない、との恐怖に慄いた。


 襲い掛かる凶弾の嵐。このままでは本当に、2人ともやられてしまいそうだ。


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