第11章 極寒の牢獄?③

 マネキン女が傍に立つと、ベッドがいきなりかってに動き出し、部屋の壁の一部が左右に開いて別の部屋に移された。女も付き添いのように同行した。ドアが閉まると、無機質な部屋にいるのは、マネキン女と二人だけになった。人間の美女なら大歓迎だが、相手は見た目の美しい外見とは違って中身は機械仕掛けのAI女だ。おそらく冷えた体を温めてくれそうな、体温もないだろう。


 女のケツを思いっきり蹴飛ばし、ここからすぐに逃げ出して大谷たちを探しに、二人の安否を確かめたい気持ちだった。それと、俺はこれからどうなるのか? との不安以外は心に湧いてこない。


「俺と一緒にいた二人はどうなった?」

 動揺する心を押し隠し、自分の身の心配よりも、まずは一番に知りたいことを即座に訊いた。


「大丈夫、二人は生きています」

 その言葉を耳にして疑念を抱いたが、俺は少し安堵した。だが、二人の無事な姿を眼にするまでは、安心などできやしない。


「二人に合わせてくれ」

 女に頼み込んだ。


 相手は、冷徹なAIのマネキン女だ。無理だとはわかっていても、そう言わずにはいられなかった。


 すると、女が予想外の反応をしてきた。


「いまは無理です。彼らとあなたは立場が違います。反乱軍の仲間だった彼らには、それなりの厳しい処分が科せられます。大丈夫、すぐに殺したりはしませんから」

 澱みなく答えてきたが、これまでの口調とは違っていた。少し柔らかみも感じだ。

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