第66話 ミノ またお前か

 「じゃあ今日は11階層まで休憩を挟みながら行くからついてきてね」


 「「11階?」」


 七海さんと葉月さんがそろって声をあげるが、キィちゃんとさっちゃんは驚いてないな。

 今宵から聞いてるのかな。


 「そうそう、11階層に良いパワーレベリングができる場所があるんだよ」


 「そうなのー? ってそうじゃなくて蒼月君レベル2でしょう? 11階層なんて危ないよー」


 七海さんが俺のレベルが2なのに11階層なんて危険すぎるという話をする。

 端末情報で見られるのは偽装された後のステータスだもんね。


 「あー、実は俺の本当のレベルは今17なんだよね。バレたくないから偽装してる感じ」


 「「17!?」」


 そりゃ驚くか。

 端末確認で1-5クラスの一番上はゴールデンウィーク明けに見た感じだと九条 レンのレベル9が一番高く、次いで堂島君がレベル8、一ノ瀬さんと椿がレベル6で壁を超えていた。

 他にも壁を超えてた人が二人ほどいてその6人が1-5のトップ層と思われてるだろうからね。


 てか椿が壁を超えたという話を教えてくれてなかった事はショックだったが、まあ俺も教えてないしお相子か。


 「って11階層までは時間が掛かるから向かいながら話そう」


 俺はみんなを促してダンジョンに入った。


 「低階層は早めに行きたいから少し早足で歩くよ」


 本当は走っていきたいが、さすがに俺と彼女たちではレベル差があるので気を使う。


 「そう言えば矜一お兄さんは矜侍様と連絡がとれるほどの仲なんですね」


 キイちゃんが矜侍さんの事を聞いてくる。

 ちなみに矜一お兄さんと呼ぶのがキィちゃんで矜お兄さんと呼んでくるのがさっちゃんだ。

 妹の友人として良くウチに遊びに来てたら、こんな感じで呼ばれるようになっていた。


 「矜侍さんは俺の師匠だな。戦い方やスキルの覚え方を教えてもらったよ」


 「あんな有名人と知り合いだなんて凄いね!」


 葉月さんが称賛してくれるが知り合いなだけで凄いものなのか? 

 まあでも大人気俳優と友人とか言う人がいたら確かに凄いと思わなくもないか?  

 その人気俳優のセリフで「倍返しだ!」とか言うだけでリア充になれそう。

 アレ、なんだか心が荒んでくる。別の事を考えよう。


 「ダンジョンで死にかけてる所を助けてもらったんだよ。そこからの縁かなぁ」


 「へぇ~。そんな偶然あるんだねぇ~」


 七海さんが関心している。

 まあ、いつも思うが本当に運が良かった。

 しかし死にかけたって所はスルーされて少しだけ悲しいよ?


 マコト達の時も同じ感じだったが、今回も同じように俺が教えてもらった事を皆に話しながら階層を越えていく。

 契約のスクロールも使っているし、矜侍さんのお墨付きがあるので俺も気にせずにしゃべれるのは気楽で良いね。

 休憩を挟みながら5時間ほどで10階層に行く魔法陣に到着した。今は12時なので順調だ。


 「たぶんボスはいないと思うけど、もしいた場合でも俺が倒すから。ただ、ミノタウロスの咆哮で皆は動けなくなるかもしれないけど、心を強く持って。絶対に攻撃させないから安心してね。じゃあ行くよ」


 俺はみんなにミノタウロスの事を話し、魔法陣に乗って移動する。


 「ブモォォー!」


 ……。遭遇率高すぎない?


 「う」 「「きゃぁ」」 「ひぃ」


 ドサドサッ


 「みんな?」


 ジョロロロッ


 俺が皆の状況を確認すると全員意識を失ってしまった。

 今宵が初めてミノタウロスに会った時と今いるパーティはレベルが大きく離れていないから大丈夫と思っていたが……ダメだったようだ。

 しかもさっちゃんは下半身に水だまりができている。

 俺は急ぎさっちゃんに近寄る。


 「クリーン!」


 ドスンドスン


 まずい、まず過ぎる。

 クリーンを唱えている間にミノタウロスがあと10メートルの所まで来てしまった。


 「アビリティライズ身体強化


 「ダブルスラッシュ!」


 俺は身体強化を使いさらに斬撃を飛ばす。


 ミノタウロスがダメージを受けて俺をターゲットに認識したのを確認すると、俺はミノタウロスの後ろに回りこんで彼女たちからミノタウロスを離す事に成功した。


 「ロックブレット!」「ディギング!」


 ロックブレットでダメージを与えてからミノタウロスの足元に生活魔法で穴を掘る。

 これでミノタウロスは態勢を崩して倒れ込んだ。


 ドォォン!


 「ダブルスラッシュ!」


 倒れ込んだミノタウロスの首を俺は剣術スキルで攻撃して切り落とした。


 「ハァハァ」


 危なかった。

 全力で戦い、なんとかなったが……。


 俺はミノタウロスをアイテムボックスにしまう。

 ここに来るまでにオーク二匹をアイテムボックスに入れていたが、まだ空きがある感覚があったのでミノタウロスをそのまましまってみると入れる事に成功した。

 俺はみんながまだ意識を回復していない事を確認すると、念の為に意識が戻る前に全員にクリーンをかけておく。





 その後4人は意識を取り戻し、全員がレベル6になっていて壁を超えていた。

 11階層のトラップ部屋に辿りついてからはその宝箱トラップに驚いたり、休憩時間中に魔力を認識する訓練を行ったりして夕方18時までそれを繰り返し、最終的に俺がlv20、他の4人はレベル14となりダンジョン探索を終えたのだった。









 ―――――――――――――――

 本文とは関係ない各々の今回上がったステータスと手に入れたスキル・魔法の記載です。

 jobは魔法やスキルと同じく個人で出るものが違い、通常リストにでる数は少ないです。(端末によってはズレがあるみたいです。画面の大きさの問題です。)


 また「ダンジョンに成り上がれ」だけだったタイトルに副題をつけました。

 こちらは反応を見て変える可能性もあります。

 よろしくお願いします。



 <名前>:蒼月 矜一

 <job> :魔法剣士

 <ステータス>

 LV  : 20

 力  :B(UP)

 魔力 :B

 耐久 :B

 敏捷 :B

 知力 :C

 運  :D

 魔法 :生活魔法5、基本属性魔法(火2・水2・風2(UP)・土2・光2・闇2・無2)、回復魔法1、空間魔法2

 スキル:剣術4、体術3、槍術1、杖術1、危険察知2(UP)、気配察知2、気配遮断1、空間把握2、魔力制御3(UP)、ステータス偽装1、孤独耐性1、暗視1、身体強化1、思考加速1



 <名前>:七海 由愛

 <job> :魔法士

 <ステータス>

 LV  : 14

 力  :E

 魔力 :D

 耐久 :D

 敏捷 :D

 知力 :D

 運  :D

 魔法 :水魔法1

 スキル:身体強化1(NEW)、魔法攻撃力上昇1(NEW)



 <名前>:葉月 陽菜

 <job> :剣士

 <ステータス>

 LV  : 14

 力  :D

 魔力 :E

 耐久 :D

 敏捷 :D

 知力 :E

 運  :D

 魔法 :生活魔法1(NEW)

 スキル:身体強化1(NEW)



 <名前>:綾瀬 季依

 <job> :剣士

 <ステータス>

 LV  : 14

 力  :D

 魔力 :E

 耐久 :E

 敏捷 :D

 知力 :D

 運  :D

 魔法 :生活魔法1(NEW)

 スキル:身体強化1(NEW)


 <名前>:琴坂 佐知

 <job> :聖水士

 <ステータス>

 LV  : 14

 力  :E

 魔力 :D

 耐久 :E

 敏捷 :D

 知力 :D

 運  :E

 魔法 :生活魔法1(NEW)

 スキル:身体強化1(NEW)

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