第63話 くぃっ
「そう言えば新しく部活動を作る話はどうなったの?」
あわよくば俺も加入を誘ってくれないかと話をふる。
いや、でも今は俺に部活動をする余裕はないのか?
「それがねー……。同好会ならメンバーが3人からで部活動は5人以上の部員が必要なのと、顧問の先生が必要でね。部員は部活動をしていないクラスメイトを誘えばなんとかなると思うんだけど、指導者がいなくてねー」
「それもあるけど! 生徒会室に新規部活の話を聞きに行ったら、人数は? 顧問は? そもそも能力の低い1-5クラスの人員が集まって部活動する事で能力の
顧問の先生と指導者が見つからないと嘆く七海さん。
顧問と指導者は同一が多いだろうから冴木先生は現役のAランク探索者だそうだし指導もできるはずだけどどうなんだろう。
葉月さんは生徒会室で嫌味を言われた事に憤慨している。
イケメンの所の情報必要あった? てかイケメンメガネ男子ってなんで眼鏡の中央をくぃっとするんだろうね。
女性だと厳しめのメガネ夫人が眼鏡をかける所を触って、くぃっと上げるのと同じ感じ。
「顧問は冴木先生に頼んでみたらどうなの? A級探索者って時点で指導もできるでしょ?」
「そんなのいの一番にお願いしたに決まってるでしょー! でもサービス残業はなーとか、教師を今しているのはパーティメンバーが長期の怪我で本格的にパーティでダンジョンに潜れるのが1年以上先らしくてね。その間どうするかって所でそれならその間は教師をしてくれって古巣の学園から打診があったみたい。だからずっと面倒を見られないからって断られたのー」
最初のサービス残業がもしかして本音なのかな? うーんわからん。
まあ確かに現役のAランク探索者が担任なのって1-5クラスだけで不思議ではあったんだよね。
他は1クラスの担当は大体が元Aランクだけど、他は殆どが元Bランクが担任をしている。
「でも一応アドバイスはくれて、学校ではなくても外の大手クランなんかに所属してそこで大会で好成績を収めたら評価は上がるとかなんとか? ただ、学内で部活を3年間頑張ってましたとかいう内申点はないみたい」
それって普通に個人で出れる大きな大会に出て好成績だったら評価が高くなるって話じゃないのん?
どこの高校でも大学に行く場合は大会で好成績なら同じく評価が上がりそう。
七海さんと葉月さんを俺たちの訓練に誘うのもありっちゃありなんだよね。
俺たちの情報を隠すって話と矛盾しているみたいだけど、俺も学校でボッチは嫌だし、何より来年にもし今宵が入学する場合に事情を知っている人たちがいてほしい。
「でもいまさら頼み込んで部活に入るのも時期的に遅れてるし張本君の事もあったし難しいんだよね」
「確かに」
これだと結局は1-5クラスの大半は外部の道場なんかに通って訓練するしかない気がするな。
「あ! そう言えば蒼月君みたよ! レベル上がってたね。おめでとう!」
暗くなった雰囲気を葉月さんが明るくする。
「え? そうなのー? 蒼月君おめでとー!」
まさか俺のレベルの事を端末で確認してくれてるなんてね。
「あ、ありがとう。だいぶ皆より遅れているけどやっとレベル2になれたよ」
「あははー。でもこの高校に受かってるんだからレベルなんてこれからだよー」
「うんうん!」
二人とも元々俺のレベルや容姿を気にしてなかったし、純粋にお祝いしてくれていると思うと嬉しい。
そう言えば椿には言及されていないから、まだ見ていないのだろう。
端末情報を更新してからすぐにゴールデンウィークだったし普通は見ないか。
「学外で入れてくれそうな良いクランとか俺も情報を探してみるから、七海さんと葉月さんも何か良い情報があれば俺に教えてくれると嬉しい」
せっかくのクラスメイトの伝手。
ここで逃してなるものかっ。
「もちろんだよー。1-5クラスで頑張ってかなきゃねー」
そこはクラスではなく俺と言ってほしかったがまあ無理か。
「ありがとう。食べ終わったしもどろっか」
俺たちはそう言って食堂を後にするのだった。
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