第21話 箱庭③
「次は素振りだ。まずは手本を見せる」
そう言うと何度か木刀を振るう。
「振ると同時に一歩足を前に出す。やってみろ」
ただ木刀を振るだけの見本なのに音がすごい。
見よう見まねでやってみる。
「そうだ。ただし振った後はキッチリと止めろ。振り上げた時も同様だ。剣先をふらふらさせるな」
アドバイスを受けながら木刀を振るう。
「よし、1時間たったな。10分休憩の後に体術の稽古をする」
「はい」
俺はその間にトイレを済ませ、休憩した。
「よし、まずは突きの練習からだ。握りはこうだ。小指から順に握っていき、最後は少し力を抜け。力を入れたままではスピードが出ない。半身に構えて引きながらこう! わかるか? 拳と腰に回転を加えながらこう!」
言われた通たり俺も正拳突きをする。
「肩の高さで突くんだ。引き手も意識しろ。脇は開くな」
少しの間、一緒に正拳突きをする。
「よし、次は前蹴りだ。途中で膝を一旦たたみ、一気に開放する。こう! 足首は伸ばしてはいけない。直角だ。前屈立ちをしながら上半身は動かさない。これは相手に見切られないと言う意味もある」
一緒に何度も繰り返す。
「はぁ、、はぁ。。」
「きついだろう。力みすぎるな。ただ突きを突くだけ、前蹴りを放つだけでも真剣にやればこれだけ疲れる」
キツイ。
走った時もきつかったが、時間的にはかなり短いにも関わらず体力を消耗している。
「ここまでで既に昼か……。いずれはこの後の型の稽古を含めて午前で終わらすように。ここに集合だぞ」
そう矜侍さんは言うと消えた。
コンテナの中に入ると、一角にカロリーフレンド的な物がたくさん置いてあった。 まさか1年これなのか⁉
俺はコップに水をつぎ、もそもそと食べるのだった。
うまっ え? 思った以上に美味しい。
しかも疲れが取れるようだ。
というか、確実に体は楽になっている。
ポーションでも混ざっているのだろうか。
30分経ち、外へでる。
「次は型の稽古だ。まず見本を見せる」
そう言うと、最初は正拳突きから始まり、横に移動したり向きを変えて突きや蹴りを放つ。
キレがとんでもない。
そして最後にジャンプしたかと思うと、蹴りを放ち腕を払って静止した。
「これを覚えるんだ。常に低く重心に気を付けて正面に敵を見据えて緩急と止めを意識しろ。目線は動かすな。敵に隙を与える事になる。要所要所は正拳突きと同じだ。引き手に注意して脇は閉める。残心も忘れるな」
何度か見せてもらい
「この後は瞑想だ。周りの気配に注意しながら意識を集中しろ。2時間後に今日は声をかける。明日からは自分の感覚で終わらせるんだ。瞑想中に時々俺が見に来るがその気配を察知できるようになるように」
瞑想のやり方を教えてもらい座禅を組み呼吸と姿勢を整える。
最終的には心も整える事が瞑想の狙いだそうで、魔力上昇も見込めるらしい。
「すーはー。すーはー」
自分の呼吸の音だけが耳に入る。
先の稽古の事、学校の事など雑念が浮かぶ。
何度も雑念が浮かんでは呼吸に意識を戻して五感を使い集中する。
ふと、後ろに気配を感じた。
音などはしていないが、確かに矜侍さんがいる事がわかる。
そしてまた気配が消える。
俺はもう一度、呼吸を意識して集中するのだった。
「よし、今日の瞑想は終了だ。風呂に入ってその後は隣のコンテナで魔法書を読んでおけ。風呂は毎日必ず入るように。精神と体力回復ができるポーションが湯に入っているからな。夜の食事と睡眠は自分で考えてとると良い。ただ学習の時間を減らせば魔法を覚える事などできないと思ってやるように。ではまた明日の朝7時にここに集合だ」
矜侍さんはそう言うと消えた。
体を洗い、風呂に入る。
「あ゙ぁ~。気持ぢい゙い~」
浸かっているだけで身体が回復し心が軽くなるのがわかる。
1日の楽しみで、これがあるだけで頑張れるような気もするくらいの気持ちよさだ。
これを考えるとバランス栄養食のアレもやはり回復の何かが含まれているのだろう。
風呂を堪能し隣のコンテナに入ると、昼の食事の時にはなかった棚があり、本が何冊も置いてあった。
「これが魔法書か。題名を見ると入門書のようだ」
なぜか魔道具作成入門書というのもある。
まずは魔法の入門書を手に取り読書する。
集中して読んでいるとお腹がなり、時計を見ると夜の8時を過ぎていたので栄養食を少し食べて、また読みふける。
数冊読み何度も読み返した所で午前2時を過ぎていたため、今日は睡眠をとるのだった。
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