第13話 称号とか裏進化とかその他もろもろ

<EXP100000を獲得。古谷浩二はレベルアップしました>

<スキル:「マナボールV4」が「マナボールV5」に進化しました>

<特殊条件のクリアを確認。「マナボールV5」は、「真・マナボール」に特殊進化します>

<称号:「無属性を極めし者」を獲得しました>

<称号:「理不尽を打ち破りし者」を獲得しました>


 ……ちょっと待て。多すぎて、いろいろと理解が追い付かないぞ。

 とりあえず、ステータスを見て一個ずつ確認しなければ。


「ステータスオープン」


 俺はそう唱え、ステータスウィンドウを開いた。


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 古谷浩二

 Lv.34

 HP 1632/1632

 MP ∞/800

 EXP 5410/6800


 ●スキル

<アクティブ>

 ・真・マナボール

 ・階層完全探知

<パッシブ>

 ・ダンジョン内魔素裁定取引


 ●装備

 ・革鎧

 ・ガトリングナックル


 ●称号

 ・無属性を極めし者

 ・理不尽を打ち破りし者

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 すると……ステータスは、見違えるほど変わっていた。


 何だよ、HP1632って。確か前まで180とかだったのに、桁が一個変わってるぞ。

 そしてMPは、桁が変わるとまではいかなかったが……それでも5倍は超えてるから、とんでもない変化なんだよな。


 まあ……EXPが10万も入れば、それくらいは変わってもおかしくはないか。

 次は、スキルの確認だな。


 俺はステータスウィンドウの「真・マナボール」をタップし、詳細を開いた。


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 ●真・マナボール

 限られた者にしか顕現しないマナボールの裏最終形態。

 MP1あたりのダメージはマナボールの10倍。

 あらゆる魔物の無属性攻撃無効を貫通する。

 無属性攻撃無効特攻(無属性攻撃無効を持つ魔物に対しダメージ4倍)

【進化条件】ステータス顕現から一か月以内に、マナボール以外の攻撃スキルを身に着けていない状態で、マナボールをV5に進化させる

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 すると……真・マナボールも、原型を留めないくらい色々と大変なことになっていた。


「あらゆる魔物の無属性攻撃無効貫通」に「無属性攻撃無効特攻」って……それもう無属性攻撃無効が弱点になってしまってるじゃないか。

 8階層の魔物、涙目だなこりゃ。

 そこのインパクトが強すぎて、なんかダメージ量がマナボールの10倍になってるのがショボくすら感じてしまうのだが。


 あと……地味に進化条件が酷い。

 幸い俺は、ここまで来るまでにスキルスクロールを入手できなかったから良かったものの……何か手に入れてたら絶対使ってたし、そしたらアウトだったじゃん。


 これがいわゆる、不幸中の幸いって奴だろうか。

 まあもしかしたら、「知ってたところでそこまでマナボール一筋ではいかない」って人の方が多数なのかもしれないがな。



 それを確認し終わると……今度は俺は、俺にとっては新要素である「称号」とやらを見てみることにした。

 ステータスウィンドウも表示を一個戻し、まずは「無属性を極めし者」をタップ。


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 ●無属性を極めし者

 スキル「真・マナボール」を入手したものが手に入れる称号。

 補正値:HP+100%、MP+200

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 すると、かなり簡易的な説明が出てきた。


 なるほど……称号は、手に入れるとステータスに補正がかかるのか。

 MP+200はいいとして……HP+100%ってのは、「称号がない状態のステータスに、その100%分のHPが上乗せされる」みたいな意味合いだろうか?


 獲得条件が厳しいだけあって、補正値も高めだな。

 ……いや、他の称号を手に入れたことがないので、これが相対的に高いのか低いのかは不明だが。

 何にせよ、こんなのが手に入ったならHPが1632とかになったのも納得だな。


 次は……「理不尽を打ち破りし者」を見てみよう。


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 ●理不尽を打ち破りし者

 イジワルミミック初討伐時に入手できる称号。

 補正値:HP+150%、MP+150

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「理不尽を打ち破り」って名前の通り、やっぱりイジワルミミックを倒したのと関係してたか。

 そして補正値も、獲得条件に見合ってる感じがするな。



 と、そんな感じで……俺は今回獲得した全てのものについて、一通り見終えることができた。

 次は……さっき手に入った巻き物でも確認するか。


 とりあえず、開いて中を見てみる。

 すると……こんなことが書かれてあった。


『これはスキル:「エクストラハイヒール」のスキルスクロールです。下に描かれている魔法陣に手をかざすと、スキルを習得できます』


 どうやらこれが、「スキルスクロール」と呼ばれるものみたいだな。

 早速、書かれてある通りにやってみるか。


 俺が手をかざすと……巻物に書かれてある魔法陣が光り、一瞬遅れて、こんな脳内音声が鳴り響いた。


<スキル:「エクストラハイヒール」を獲得しました>


 ……ちゃんと習得できたな。

 じゃあまずは、説明を見てみるか。


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 ●エクストラハイヒール

 HPを最大値の50%分回復できる回復魔法。

 一回あたりMPを750消費する。

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 すると、説明にはそう書かれてあった。


「来たぁっ!」


 それを見て……俺は思わずガッツポーズをした。


 今まで慎重に行動してたのは……もちろん「怪我したくないから」という理由もあるんだが、一番の理由は回復手段が無かったからなんだよな。

 いや受付の隣の売り場とかに行けば、ヒールポーションとかも売ってたりはしたけど……そもそもダンジョン攻略の目的が金稼ぎである以上、「それを買うくらいなら絶対安全に倒せる階層にいればいいかな」って考えちゃってたし。


 だが……その物足りなさが、これで解消されたってわけだ。

 しかもHP値固定型じゃなくて割合回復型なので、この先どんなにステータスが上がっても使える優れものときた。


 そういえば……このスキル、マナボールみたいに自分で消費魔力を調整できるんじゃなくて、消費MP固定されてるのか。


 そこまで考えた時……俺は一つ、閃いたことがあった。



 これ……今のうちにV5まで進化させとこう。


「すみません」


 後ろを振り返ると、さっきの人が未だに放心状態で突っ立ってたので……俺はその人に、一つ頼み事をすることにした。


「ちょっと頼みがあるんですけど。エクストラハイヒール、5分間ほどあなたに連射させてもらっていいですか?」

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