第35話 川名 光弘の物語>出会い 9
「
見た目とは違う、以外にもがっしりとした
眠ってしまった俺を勝が背負ってきてくれたようだった。
両隣には、前後にランドセルを担いだ
「悪いっ。」
「おい!ちょっと待てって。」
慌てて背中から降りようとした俺を勝が止めた。
「まあ、落ち着けよ。靴もはかねーで降りたら足がドロドロになんぞ?それよりさー。家。俺らと同じ方向だったよな。」
勝にそう言われ、改めて周囲を見回してみれば、そこはすでに俺の家の近くだった。
俺がうなずくと、3人はホッとしたように笑顔になった。
「なあ。向こうの空、すごいぞ。」
後ろ向きに歩きながら、都古は興奮した声を上げ空を指した。
振り返った俺は、目を見開き、そして息をのんだ。
さきほどまでの荒れ狂う暴雨がまるで嘘のように、空は晴れ渡っていた。
目に映る全てのものが、鮮やかな夕日を受け
不思議な七色の光の粒がそこかしこで弾けては、光の海の中へ次々と溶けていった。
心の中に、直接夕日色の絵の具を流し込まれたかとおもうほどの、あまりの
「すごい夕焼けだろっ!こんなの初めてだ。明日は間違いなく、いい天気!」
真也はカラカラ笑って言ったが、何かを思いついたのか、抱えているランドセルをポンと叩いた。
「そうだっ。明日
「光弘」と呼びかけてくる3人の笑顔に、俺は自分でも気づかないうちに微笑み返していた。
夢に出てきた、あの青年のおかげだろうか。
自分の中でどんな変化が起こったのかわからなかったが、この3人と共にいても、大丈夫だと強く感じることができた。
夢の中とはいえ、あの青年の名前すら聞かなかったことを俺は後悔した。
4人で歩きながら、俺は、懐かしい仲間と再会できたような・・・・・かけがえのない大切な人にようやく巡り合うことができたような。
そんな、熱を帯びた胸の高鳴りを確かに感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます