第51話 白いないものねだり
雪国での3回目の冬を迎えている。
今年は雪が多い。
3回しか経験していないけど。
毎晩のように雪がちらついて、一晩で60センチと言われた日は車が埋もれた。
やっとの思いで3時間近くかけて雪かきしたのに・・・
その晩にはまた雪が降ってあっという間にまた真っ白。
関東に住んでいる時は、雪が降ると言うと内心楽しみにしていた。
電車が動かないと仕事が大変なのは分かっているけど、ただただ雪を見たいなぁという思いだった。
北海道に来て、どこを見ても雪で、どこを歩いても雪で。
最高気温が氷点下という冬。
そんな幻想的な冬は住むのにはきついけど、とても美しい。
公園に散歩に行くだけで、絵本の中に入ったような気分になる。
センチメンタルな気持ちになるけど、キラキラと太陽に反射している真っ白な雪は心を落ち着かせてくれる。
緑の山の中とはまた違った癒しだ。
ピンと張りつめた空気と氷点下の痛いような冷たさ。
眩しいくらいの白色とフカフカで思わず踏みたくなる雪道。
現実離れした世界観は、心がうきうきする。
それとは別に生活するということは、とてもリアルだ。
映画を見ている間に車は雪に埋もれて雪かき。
道路は4車線だったはずが、2車線になり、置き場が無くなった雪は歩道に高く積み上がり雪の壁が出来上がる。
雪の壁で入口は見えず、車はアトラクションのように揺れて滑る。
歩道は、雪かきを諦めた道があちこちにある。
通れない道がたくさんあって、結果すごい遠回りで歩くことになる。
降り積もる雪を窓から見て、美しい反面そろそろ止まないかなと思う。
関東にいた私にとって、北海道は10月から4月まで冬と呼べるほど寒い。
1年の半分が冬だ。
日本は四季じゃなかったか。と思うほど。
くまが冬眠したくなる気持ちも分かる。
でも、なんだかんだ言って
雪はロマンチックだ。
終。
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