第31話 私を置いていかないで

すぐ隣にいても視界に入らないため、探される。


「どこ行った?」

「え?ここにいるけど。」 すぐ真横。


低身長の人ならあるあるではないだろうか。

私は148センチとミニサイズだ。(正直に言うと147.6センチ)


よく探されるし、背の高い人と話すのは難しい。

電車の中で隣同士に立ったら、耳の位置が違いすぎて聞こえない。会話にならない。



まぁそんなことはよくあることで。

気にする事でもない。



でも、置いていかれるのは悲しい。


結婚してから夫に2度置いていかれた(笑)

結婚前はとても紳士だったのになぁ。まぁそれは置いといて。


彼は、眠い時、お腹が空いた時、平日前の休日、ものすんごく機嫌が悪くなる。

誰もが機嫌が悪くなる条件だが、その程度に驚いた。


最初は恐ろしいほどだったが、観察するにつれ今は対策を練っている最中だ。(笑)



一度目は、フードコートだ。


その日は朝起きた時からご機嫌がななめだった。

仕事が忙しいのもあるが次の日が平日の、ある休みの日だった。


機嫌が悪いと怖いので、買い物だけ済ませて帰ろうとしたがお腹が空いたらしくフードコートによってご飯を食べて帰ることにした。


私はうどんを食べ、彼はカツカレーを食べた。

機嫌はなおらず、一言も話さずに食べていた。


私が食べ終わるのが遅いので、食べ終わるまでスマホを見ている。

やはり無言。


そして私が食べ終わったのを確認すると、すかさず無言で席を立ち、自分のお皿を下げに行き、そのまま出口へと歩いていった。


うそでしょ?

私置いていかれた?

うそでしょ?


私は水を飲みながらその光景を見ていた。

こわくて何も言えぬまま。


「行こうか。」くらいの一言あってもいいんじゃない?

後になってふつふつと怒りがこみ上げてきたが、体の外に感情を出すことは出来なかった。



二度目は、映画館。


その日はレイトショーを見に行った。終わったのは23時くらいだ。

そこから家まで車で25分くらい。


彼が映画を見たいと言うので、その日は出かけた。私も見たい映画だったので空いているレイトショーの時間に行くことになった。


いつも早い時間に就寝している彼にとって23時は真夜中。

夜行性の私とは正反対だ。

もう眠くてしょうがなかったのだろうとみる。


映画が終わってラストのエンドロールになると、スッと席から立ち、無言でそのまま出口へと行ってしまった。


うそでしょ?

私置いていかれた?パート2だ。



いつもはエンドロールが終わって明かりがついてから帰る私たちだった。

時間も遅いし早く帰りたいのも分かるから、エンドールを見ないで出るのもいいんだけど。


「行こうか。」とか何とか一言あるでしょ。


しかも隣の席に座っているんだから、小さい声で「行こう」とただそれだけ言えばいいじゃないか。

それか肩をトントンってするだけでもしてくれたっていいじゃないか。


後になってまたふつふつと怒りがこみ上げてきたが、その時は余計に機嫌が悪くなるのが嫌で、感情は体の外に出せなかった。



なぜ置いていかれるんだ。

なぜ一声かけてくれないんだ。


ただその一瞬が、寂しかった。

でも、その気持ちには気付いてくれない。



人間は、なるべく良く寝て、よく食べて、笑顔でいてほしいと願う。


まわりの人に優しくなれるように。



誰かに優しくできるように、今日もよく眠ろう。



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