17.お昼寝の後に⑤
私は、リルフと一緒にエルッサさんの元へと向かっていた。
結局、この子が男の子なのか女の子なのかはわからなかった。裸を見ても、それが判別できなかったのである。
人間の姿のように見えるが、正確には少し異なるようだ。やはり、まだまだ謎が多いようである。
「あら? フェリナ……え? その子は?」
リルフの姿を見て、エルッサさんはとても驚いていた。それは、当然なことである。彼女からすれば、私が知らない子供を連れてきたのだ。至極全うな反応である。
「あはは、驚きますよね。この子は、リルフなんです」
「リ、リルフ? 嘘……」
「本当なんです。私も驚きましたけど、人間のような姿になったみたいです」
「そ、そんなことがあるの?」
「あったんです」
私が説明しても、エルッサさんは困惑していた。
普通に考えて、あの小さな子が人間の姿になるなんて信じられないことだ。私は、状況やその他の要素によって、すぐに受け入れられたが、他の人はそうはいかないだろう。
「エルッサさん、あの……」
「あ、えっと……」
「ボ、ボクは本当に、リルフなんです。その……ボクにも、どうしてこうなったのかはわからないんですけど……」
そこで、リルフ本人からの主張があった。その様子に、エルッサさんは少し目を丸くしている。
今の彼女の気持ちは、なんとなく推測できた。恐らく、私がこの子をリルフだと思ったその不思議な雰囲気を彼女も感じたのだろう。
「なんでかしら? 確かに、この子がさっきの小さな子であるように思えるわ」
「ええ、そうなんです」
「やっぱり、あなたはリルフなのね……不思議なことも、あるものだわ」
エルッサさんは、本当に不思議そうにしていた。確かに、不思議な出来事である。あまり気にしてはいないが、できることならどういうことは知りたいものである。
「昼寝をして、起きたらこうなっていたんです。その間に、こうなっていたので、どういうことかはさっぱりわかりません」
「昼寝……寝ることは育つということなのかしら?」
「た、確かに育っていますけど……これは、育ちすぎですよ」
「まあ、そうよね」
エルッサさんは、そう言って笑った。その笑みに、私も思わず笑ってしまう。
そんな私達を、リルフは少し困惑しながら見ていた。流石に、まだ冗談というものは理解できないようだ。
「とりあえず、エルッサさんにはリルフがリルフだとわかったということだよ?」
「あ、うん。それは、よかったんだけど……」
そんなリルフの頭を、私はゆっくりと撫でた。少し困惑しながら、リルフは気持ちよさそうにしている。
ふわふわとした髪の感触は心地いいものだった。あの小さな姿の時の感触も良かったが、こちらもいい触り心地だ。
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