第62話 サイクロプス、進化するってよ

商人達の大熱狂から3日……遂に俺達はルイード峡谷の手前までやって来た。

俺は【エナジードレイン】を発動させる……居た……デカい魔力だな!おい!サイクロプスらしきヤツを指定する。が、【エナジードレイン】は吸収を開始しない!?おいおい……このサイクロプスは闇属性なのか??


「アシュのおっちゃん、このサイクロプス闇属性っぽいよ……」


「なっ!?それは本当か??」


「うん、俺のスキルが効かないから多分間違いない。こりゃあ一筋縄では行かなそうだね」


「うむ、では作戦通りに夜まで待つしかないか……」


【エナジードレイン】が効いてくれればそのまま待ってればやっつけられたけど、そうは問屋が卸さないって事らしい……面倒だな。


「ラダル君、どうして闇属性と分かるの?」


そうか、ブリジッタさんは俺のスキルを知らんしな……何と言ったら良いかな?するとアシュのおっちゃんが


「ラダルは闇魔法を使えるからな。闇属性の感度が高い」


「ふーん……そんなものなのかしらね……しかし闇属性のサイクロプスか……マズイ事になったわね……」


「ああ、闇属性のサイクロプスは厄介だな。ポリュペーモスに進化してなければ良いが……」


「そうね……もし進化してる様なら倒すのは至難の業って事になるわね」


「でも進化してたとしても眼が弱点には変わりないんでしよ?」


「それはそうなんだけど……大きさが更に大きくなるから狙いにくいのよね……それに力も強くなるし耐久力も桁外れに上がるの」


「ポリュペーモスに進化してた場合は何かしら考えないとダメかもしれない。ラダルのスキルも闇魔法も効かない可能性が高いぞ」


「そうかぁ……じゃあ【血魔法】を使えないとマズイ事になりそうだね……まだ腕輪の精霊石が赤くなってないんだよね……もう少しで貯まるはずなんだけど……」


「とにかく策を練り直す前に情報だな」


「ちょっと……【血魔法】って??」


「俺の切り札。だけどこの精霊石が赤く光らないと使えないんだ。後は内緒ね」


「そう……分かったわ。とりあえず偵察を……」


「あっ、ブリジッタさん『眼』が行ってるから大丈夫だよ」


『眼』はサイクロプスの居る場所にフワフワと飛んで行ってる。

サイクロプスらしき魔物が居たので鑑定眼を使ってみる。


【サイクロプス】

クラス:S 属性:闇属性 加護:金剛

攻撃力:A 防御力:A 魔力:B 速度:D

大きさ25m程の一つ眼巨人。攻撃力と防御力に優れ物理攻撃を行う。一つ眼が弱点。

【現在、ポリュペーモスに進化中】


ヤバい……進化してる最中の様だ。早く倒さないとダメそうだな!


「進化してる最中みたいだから今のうちに倒さないと……」


「マズイ事になったわね……私も行くわ」


「とにかくまだ明るいけど狙ってみますよ」


俺とブリジッタさんはサイクロプスの居る方に急ぎ向かうとサイクロプスはじっとしていて動かない。

チャンス到来!!俺は『隠密』を使って前の方に回り込む。しかし、コイツは闇属性……俺の『隠密』は効いていなかった様だ。

明らかに俺の姿を眼で追っている。俺は【暴走する理力のスペクターワンド】を握り締めながら『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ち込んだ!!しかしサイクロプスは左手でそれを防ぎ、俺を右手で殴りつけようとした。

俺は交わしながらその右手に金槌の一撃を食らわせた!!がその一撃は硬い表皮に弾き返された!痺れる俺の両腕……硬っ!!

その時ブリジッタさんが目にも追えない速度で駆け抜けてレイピアでサイクロプスの目に攻撃を加えた!!

その刹那、サイクロプスの眼から光が溢れてブリジッタさんを吹き飛ばした!!


「ブリジッタさん!!」


俺はブリジッタさんが地に叩きつけられる瞬間に『泥壁(マッドウォール)』を展開して衝撃を和らげた。


「ラ、ラダル君……済まない……」


「大丈夫ですか!?」


「何とか……な。しかしコレはマズイ……直ぐに撤退しよう」


「コレは一体……」


「間に合わなかった……進化が完了してしまったよ……」


俺達は直ぐに撤退する……。


サイクロプスは眼を光らせながらその身体が徐々に大きくなっていった。青みがかった身体が徐々に赤く変化して行く……。

そして、俺達が完全に撤退した後、サイクロプスは遂に進化を完了させてポリュペーモスへとその姿を変えたのである。


撤退した俺達はアシュのおっちゃんと合流してもう一度作戦を練り直す事にした。


「クソっ……もう少しで倒せたのに……」


「正直、完璧なタイミングだったんだけどね……まさかの進化終了だったわ」


「その様だったな……一気にデカくなったぞ。身体も魔力も……」


「やっぱり夜にやりますかね?」


「それが良いだろうな……とりあえずオレも何とか出来そうだ」


「じゃあ、大剣のヤツ使えそうなんだね!」


「うむ、一応纏わせられるが……一回が限度だろう」


「充分だよ。コレで何とかなるかもね!」


俺達はとりあえずそこを離れて夜に再アタックをかける事となった。

『眼』には引き続きポリュペーモスの監視をさせている。まだ進化後の身体が馴染んでいないのかその場から動かないでいるポリュペーモス。


【ポリュペーモス】

クラス:SS 属性:闇属性 加護:金剛

攻撃力:S 防御力:SS 魔力:A 速度:D

闇属性サイクロプスより進化した個体。大きさ35m程の一つ眼巨人。攻撃力と防御力を大幅アップさせて物理攻撃が更に強力となった。一つ眼が弱点。


「進化ヤバ過ぎる……防御力が更に上がったのはホントにマズイ!!サイクロプスのままでさえ金槌の一撃が全く効かなかったのに!」


「コレは……正直デュラハンが普通の魔物に見えるな……」


「大きさが……コレでは倒れでもしない限り私の一撃は届かないわね……」


《夜中の一撃に賭けるしか無いの》


ううぅぅぅぅ……そうは言ってもなぁ……精霊石は赤くならんし……コレはマズイな。



その夜、月明かりがとても綺麗……って闇夜に隠れ切れねぇよ!!クソッタレ!!


足元でキラとブリジッタさんが物凄い速度でポリュペーモスに攻撃を仕掛けて注意を引きつける。

その後、アシュのおっちゃんが『暴炎旋風(フレアストーム)』で両足を焼いて行く!!

コレで片膝でもついてくれたら……と思ったけど全然大丈夫……熱くねぇのか!?この不感症め!!


再びブリジッタさんが攻撃するが全く歯が立たない。

キラは俺と戦った時くらいの大きさでブレスを放ったり爪で切り裂いたり毒を吹きかけたりしてるが全く効いてない……ウソでしょ?


俺は『眼』の暗視モードで正確にポリュペーモスの眼を狙って【暴走する理力のスペクターワンド】を握り締めながら『溶岩弾(マグマバレット)』10連弾を発射した!!

しかしポリュペーモスが左手で全弾防いでしまった……ヤツは俺が見えていたのだ。

迫り来るポリュペーモスの右腕のパンチ!!

しかし間一髪キラが俺に体当たりして逃がしてくれる!!が、キラがパンチをモロに食らってしまう!吹き飛んだキラは岩壁にめり込んでペシャンコだ!!


「キラっ!!クソっ!!」


俺はすかさず『溶岩弾(マグマバレット)』を連射しながら逃げるが、ポリュペーモスは俺の攻撃を左手で防ぎながら再び右腕のパンチを放ってくる!!


もう避けきれない!と思った瞬間、俺の腕輪の精霊石が真っ赤に光り出していたのである。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




いつもお読み頂きありがとうございます。

対サイクロプス戦が進化した為に、対ポリュペーモス戦となりました。

果たしてどんな決着となるのでしょうか……。

乞うご期待!!


コメントありがとうございます。

皆様の応援が心の支えでございます。

何卒よろしくお願いいたします。


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