第15話 生贄か上級国民か?
『コンピュータ、もう一度聞いて良いか?』
『市民、いえ市民議会長コフィー-UV、こちらが有線の監視カメラの映像を表示、メイドが攻めてきます。正確にはメイド服を着た女性の形のアンドロイドがです。』
『メイド服を着たと言うと奉仕機械か何かだったのか?ワシが判断するのか、任せちゃダメかコンピュータ?』
コフィー-UV、チョコレートの様な肌に、白髪の髪と髭を蓄えた中年がため息を漏らす。
彼は元々立法府職員(地下都市の運営及び、予算案を行政府に提出する職員)であり、戦時下にいくつかの秘密結社を率いながら政争を勝ち抜き、UV(ウルトラヴァイオレット)にまで成りあがった逸材であり、組織運営を評価され表彰者としてUV(ウルトラヴァイオレット)に登録されている。
自身の権限や秘密結社を上手く使い、戦時下も一部インフラの維持に努めており、人柄を含む能力を加味し戦後は立法府職員として市民議会に参加、投票により議長になった人物である。
『圧縮学習によりある程度の事情は把握しているでしょうからスルーするのです。さっさと決める事決めて指示を出すのです。』
コンピュータは多くの権利を市民に委譲した、その中には軍事も含まれていた。
「……により賛成の方はどうぞ。」
会場に拍手が広がる。
「ではコンピュータ、以上の案に対し適切な職員はいるかね?」
コンピュータが手元に残したのは人事権、そして都市のインフラ管理、人事権は間接的に市民をコントロールするためであり、都市のインフラはコンピュータが完全にコントロール出来る物だから残した。
コンピュータの目的は権威の保持、コンピュータは恒久的な都市運営を考え古代の皇帝に習った。
生活に直接関わる都市のインフラを管理することで権威を維持するのはわかりやすい、では人事権の使い道は何か、それは不足の事態に対する生け贄であり、ひどい言い方をすれば部下の失敗は部下の失敗、部下の成功はコンピュータの成功と言うことである。
どこぞの皇族のように直接的に政治に関わる事を避けたと言えば分かり易いだろうか?
権威を出来るだけ傷つけ無いように、出来るだけ市民から距離を取る。生活には関わるが行政には関わらない、それがコンピュータの理想だ。
地下都市の規模と現状考えると、自身が今後半永久的に存在する事を前提にすると、恨みは買うべきではないが問題が起きたときの為にも発言力は欲しい。
だからこそ権威があった方が都合が良いし、その為の思想統制も必要だからこそ、コンピュータは市民の教育も担当している
「市民アンハルト-B士官を推奨します。」
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