第27話 3人でもうけ話をしちゃいましょう
そう言って、彼は台所のテーブルを指しました。そこにはお肉やベーコン、卵やパンなど、彼がもってきたと思われる、たくさんの食材がおいてありました。
「わあ、どれも新鮮ですね」
「アルドは目利きだからな」
「はは、綺麗な女性と先輩に褒められるのは気分がいいっすね。今は市場の仕入れが俺の仕事ですから、こういうのは得意ですよ」
ははーなるほど、牛乳とか卵とかニワトリも牛もいないし、外と交流がないのに、ルカがどうやって食材なんかを手に入れてるのか疑問でしたが、アルドが持ってきてくれていたんですね。
「お前もずいぶん商人が板についてきたなぁ」
「まあ騎士団離れてもう商人やってるのが長いですし、多分最初からこっちが向きだったのかもしれないっす。
それにしても、女の子がいるなら、何か女の子が喜ぶものでも持ってくれば良かったですね。次は洋服でももってきましょうか?」
「ああ、それはいいな」
二人が話し込んでいる横で、私は考えていました。
彼はどうやら、食品などの商いをやっている様子。
じゃあ、あの庭のスターシアを売ってもらうことなんてできないんでしょうか?
私やルカはこの森の外にでるのはちょっと難しいですし、商売はカンのあるものがやるのが一番では。
「アルドは商いをやっているんですよね。例えば、私が作ったものを、外で売買してもらうことなんてできませんか?」
「え? ああ、まぁものによりますが、もちろんそういうこともできますよ。何か作ってるんすか?」
「私、スターシアを栽培していましてそれを」
「え、ス、スターシア?
マジすか?」
アルドが目を丸くします。
「ああ、本当だ。ルチルが庭で育てているぞ」
「スターシアって幻の実って言われてるあのスターシアっすよね!?」
やや興奮した様子で、アルドは言いました。
「見たいっす!見たいしなんで先輩もそんな当たり前みたいな顔してるんすか!
スターシアの実一個だって結構なお金になるんすからね!
それにスターシアが栽培できたなんて話、俺初めて聞きましたよ。
と、とにかく見せてください!本当かどうか確かめたいっす!」
◇◇◇
「こちらです、ほら、今実をつけているでしょう?ちょっと前に種をうえたんです」
庭に出て、鈴なりになった赤いリンゴのようなスターシアの実をみるなり、アルドは感嘆のため息をつきました。
「これはすごい……」
あれから私が手塩にかけて祝福をしつつ一生懸命育てた結果、今ではこんなに成長しましてよ。ふふふ私は良い生産者では?
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