第13話 【SIDEララ】キレるオズワルド、涙目のサラ


「第一の巫女が聖女に付き添うのがならい。そのようなことを言うてくれるな。

それにわしはな、御前で味方がほしいのじゃ。賢いお前がいれば助かる」


「はあ……しかし、私、すぐ失言しちゃうじゃないですか。私の失言で、私も神官長さまもピンチになったら困りませんか?最悪無礼だって殺されたりしません?」


「確かにお前は言葉がすぎるきらいがあるが、王の御前での殺生は誰であれ禁じられている。むしろ御前であれば最悪の自体はおきないじゃろ」


私が失礼なことは否定しない神官長さまなのであった。


「……わかりました」


と私は返事をした。


神官長さまもかわいそうだし、ずっと育ててくれた神官長さまに味方なんて言われたら嬉しさはある。


それに、今のところ、私のルチル様について、行方を知るものもなく、情報もないけど、御前報告に一緒にいれば、もしかしたらルチル様の行方もなにかわかるかもしれない。だったらまあ、がんばって出るか。

よし、がんばるぞ。



◇◇◇



宮廷での御前報告は、緊張感に包まれていた。


王のその御前に、神殿の代表として神官長さまと私、聖女代理サラ。そして騎士局の筆頭ガザ様。そして王の右腕、魔術局の第一魔術師オズワルド。


騎士局のガザ様は、昨日結界が破れたことの顛末を王に報告している。

辺境の村が壊滅し、魔物が入ってきていること。

騎士団にその討伐の要請がきていること。魔術局も討伐に出たこと。

私は傍でじっときいていた。


王の傍にひかえるオズワルドは、あからさまに憮然としていた。


「なにかのまちがいだろう。サラは魔術も聖なる力も使いこなせる」


「しかし事実として結界が消え、町から救援があり、騎士団は駆り出されている。

貴公、これをどう説明するつもりだ」


「何を言う。俺の婚約者を愚弄するか」


揉めるガザ様とオズワルド。その矛先は聖女代理のサラにも向いた。


「聖女代理殿!あなたも何かいったらどうか!」


ガザ様の一喝に、


「結界が消えたなんて、そんな……そんなはずありません!

何かの間違いですっ……!」


と、サラはふるふると首を振りながら、おびえたように返答するばかりだ。


「わたくし毎日頑張っておりますもの、私ほどの実力があれば、結界を張るなんて容易なことで、」


「しかし、結界は事実として消えております」


神官長さまの追撃に、サラは青くなる。


「私は、私は、オズワルド様の為にもがんばっていますのに……っ!

それに……それにここ数日は、私は体調が悪くて……!

結界に何かあったのならそのせいかもしれません……」


よよよと泣き崩れるサラをオズワルドが支え、オズワルドは神官長さまを睨みつける。


「サラの体調を思いやることもできないのか!

結界が張れないのはお前たち神殿がふがいないせいだろう!」


冷血オズワルドに思いやりをとかれるとは面白すぎる!


という内心を押し殺し、私はサラとオズワルドがキイキイしているこのあまりにも面白い阿鼻叫喚を笑わないようやり過ごすため、ひたすら真顔を押し通していた。


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