第53話
ポールが剣を引き抜き、ムセンがマッスルベアーというスキルを発動させる。
「奴の弱点は!」シエンとアリサが俺をみつめ、カルナが問う。
花蓮は国王からもらった攻撃速度加速呪文、アクセルをムセンとポールにかける。
「わからない……」俺は素直に答える。
「なんでよ!?」
花蓮が叫ぶ。
「わかるかよ、ただでさえ謎の多い魔物なんだ!」
「推測でもいいんだ!頼む、魔物に詳しいのは君だけなんだ!」
ポールが剛腕で殴りかかるサテュガンの攻撃を剣でなんとか受け流しながら叫ぶ。
俺はわかっている情報からサテュガンの弱点を推理する。
奴は悪魔に近い魔物。
悪魔に近いなら、弱点は光魔法と神聖魔法。
だが、神聖魔法の多くはシエンの使うものから察するに地面に魔法陣を展開してそれからダメージを与えるというのがほとんどだ。
サテュガンは巨大なヤギ。
身体能力が高くヤギだから上空に高く跳ぶのもたやすいだろう。
そうだとすれば地面に魔法陣を展開する神聖魔法は避けられるか効果が薄い可能性が高い。
奴の目が三つならかなり視力がいいはずだ。
「早くしなさいよ!」
カルナがそういいつつ、苦し紛れに弓を射るもののそれが奴の肌に刺さることはなく、叩き落される。
俺は顔をあげて叫ぶ。
「ムセンと師匠が攻撃を受け止めてくれ!俺とカルナが突っ込む!ムセンが右腕を、師匠は左腕を!俺とカルナは正面から奴の足元に飛び込む!アリサは閃光魔法を放て!シエンは花蓮を守りながら奴の背後に神聖魔法の魔法陣を発生させてくれ!それで奴の退路を断つ!アリサの閃光魔法で一瞬やつはひるみ、俺とカルナが足にダメージを与える!そこから全員で畳みかけるぞ!」
「「「了解!」」」
全員が同時に頷く。
それを見てサテュガンが不敵に笑うのだった。
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