第18話

「……で、その方法は?」


「簡単よ、賞金首と迷宮内の人助け、もしくは行方不明者探しぐらいね」


「なんだ、そんなことか」


「そんなことっていわれてもそれくらいしか思いつかないわよ」


「……いろいろ考えてみたけど駄目だな」


「この国は治安もいいけど法整備もしっかりしていて楽して稼ぐのはかなり難しいわよ」


「そうかぁ……」


「でもあなたなら何かデカい事しそうよ、あせらずに今はちゃんと地に足つけて働きなさい」


「はいはい」


 俺はその通りに働くことにしたが、なんだか嫌な予感がしていた。

 

 迷宮内の人助けと行方不明者の捜索とはとどのつまり、死んだわけじゃないけど危険なダンジョンに取り残された貴族やの息子または娘を助けたり、最悪その遺体を発見して遺族に送り届ける仕事というのだ。


 ※ ※ ※


 翌日の仕事場での休憩時間。


 嫌な予感で心がもやもやしていた。


 ギルドの職員も似たようなことをするんじゃないかっていう不安を感じていたからだ。

 

 一番キャリアのある頼れる同僚に思わず、冒険者でダンジョン内の人助けとか遺体発見するのって誰もやりたがらないんじゃないですかと疑問を口にする。


 「それは……」


 たまたま重要書類を受け取りに来たアイシャさんがその問いに答えた。


 「そういえば、アサダさんは知らないようですね」


 「なんのことです?」


 「迷宮内の冒険者の遺体や行方不明者の捜索は誰もやらなかった場合は俗にいう受付嬢以外のギルド職員がやるんですよ?」


 「…………マジっすか?」


 そういうと同僚は苦笑いを浮かべて答える。


 「私は昔、膝に矢を受けたから、まともにそういう仕事が受けられないの」


 そして俺に哀れみの視線を送る。


 「まぁ……頑張って」そういって俺の右肩に手を置く同僚。


 「え……俺?」


 「基本的に体力のある人がこの仕事を受けるんですよ」


 アイシャさんは淡々とそう言って書類を持っていきギルドを後にする。


 俺は真面目に辞表を書こうか悩んだ。


 

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