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 その後、彼の言う通り、私はウィジャ盤のことは忘れるようにして、二人に接しました。すると、奇妙なことにウィジャ盤のことはすっかり誰も口にせず、また三人で仲の良い健全な学校生活がはじまったのです。はじめこそ私は二人がウィジャ盤について話さないことに疑問を抱いていましたが、二人もウィジャ盤遊びが飽きたのだろうと思いました。そもそも、ウィジャ盤なんかなくても私たち三人は仲がよかったのです。マユズミさんに相談したことで、また充実し、健全な学校生活が戻ってきたのです。

 そして、私は秘密を抱えた生活も送っていました。それは、その後もマユズミさんと出会っていたことです。このことは千恵子さんや時子さんにも内緒にしていました。しかし、以前のウィジャ盤遊びのように後ろめたいことがあったからではありません。むしろ、マユズミさんと出会うたびに、私は彼にとって恥ずかしい人にならないようにと、学校での教養や修養を大切にするようになりました。

 私が本屋へ行くと、いつも彼はそこにいて雑誌などを眺めていました。私は時子さんや千恵子さんのことや、勉強のことを話したり、それからヨーロッパのこと、特にフランスのことを詳しく教えていただいたきました。マユズミさんの話はいつも面白く、いつか私は彼と夏のフランスへ旅したいと思うようになりました。ルーブルの裏にある芸術橋ポンデザールから蒸気船に乗り、たくさんの鉄橋をくぐり、ノートルダム寺院の優雅な姿を眺めるのです。そして、彼が好きなサン・ミシェル大通りのカフェのテラスで、広場の噴水を眺めながらコーヒーを飲んでもみたいと思いました。そういったひとつひとつの想像が、私を幸せにしてくれたのです。

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