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時子さんが、だれかそこにいますか。とウィジャ盤に向かい話しかけます。時子さんの声はかすれており、思えば私たち三人は教室に入ってから誰も口を開いていなかったことに気づきました。
すると、プランシェットはゆっくりと重々しくイエスの方向へ動きました。私にはなぜこのようなことが起きたかわかりません。私はプランシェットに力をこめていただけです。この経験をしていない人には、二人が力を加えたのだと反論されるかもしれません。しかし、今でもあの重々しい動きを思い返すと、やはりプランシェットが自分の意思で動き出したように思えてならないのです。
プランシェットが動いたことに一番驚いていたのは、千恵子さんでした。プランシェットに添えていた指が弱々しく震えていましたから、私はこっそりと千恵子さんの表情をうかがいました。きっと考えもしないことが目の前で起こったからなのでしょう。その時の千恵子さんの顔は、少しだけ、愚かに醜く見えたのです。失礼なことを書き上げました。しかし、それだけ不可解なことが起きたのです。もしかすると私も同じ表情をしていたのかもしれません。とにかくそれだけ不可解なことが目の前で起きたのです。
ウィジャ盤への次の質問は、あらかじめ話し合いの中で決められていたもので、さらに、時子さんの後には、千恵子さんが質問するということも決まっていました。しばらく冷や汗をかいていた千恵子さんは、あなたにはこれから先のことが全てわかるのですか。とウィジャ盤へ口早に尋ねました。
すると、イエスの位置にあったプランシェットは、重々しくノーの位置に移動したのです。
私たちは二重の混乱に
千恵子さんの後に質問をするのは私の予定でした。
しかし、私はぼんやりと立ち尽くしていました。次に私が質問するということも、質問の内容もすっかり忘れてしまっていたのです。
しばらく私が黙っているのを見ていたからでしょうか。千恵子さんが、いつものような態度でこのウィジャ盤遊びをやめるように、私たち三人に提案しました。そして、私が何か口を挟む前に、時子さんはあっさりと千恵子さんの提案に賛成してしまったのです。
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