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 私は、千恵子さんと時子さんの二人に、ちょっと押し切られるように、週末の放課後にウィジャ盤をやってみることになりました。それから毎日、授業の合間や、放課後にウィジャ盤について三人で話しあう日が続き、それにつれ、週末はあの恐ろしいウィジャ盤をやるんだ、危険な交霊術をやるんだと思うと、緊張と興奮に頭がクラクラと、胸がウズウズとなりましたが、それでもやはり楽しみだと心から思えませんでした。

 いよいよ週末がやってきました。

 いつも通りの授業が終わり、普段誰も使用していない教室に向かいました。みんなはいつも通りの静かで平穏な放課後を過ごしている。けれども、そんな平凡な日常の中でこれから私たち三人の怪奇趣味が暗躍するのです。

 完全犯罪。

 この時、私の頭の中に浮かんできた言葉です。今思うと、なんとも滑稽なお話なのですが、ついさっきまで楽しみではなかったはずなのに、あんなにも学校の七不思議の類だと、一種の心理作用のたぐいに過ぎないと、見下すばかりだったのに、充分にワクワクし、心を弾ませている私の姿があったのです。教室にたどり着くと、なぜか誰も口を開かない時間が続きました。しかし、私たち三人は同じ気持ちです。みんな静かな熱狂を抱えていました。

 窓から差す優しく美しい黄昏の光が私たち三人を包んでいる中、時子さんは、まるで赤ん坊を扱うかのように、鞄からウィジャ盤を丁寧に取り出しました。

 ああ、はじめてウィジャ盤を見た時の、ゆっくりと背を伝う恐怖。

 あれほどまでに現実を忘れた瞬間はありません。時子さんがアレをお父様の部屋から盗み出してしまう気持ちが、むしろ私が盗み出したかったと嫉妬してしまうほど、はっきりとわかってしまいました。

 この忌々しい計画犯罪の中で私たち三人が最も恐れていたことは、先生方にこの悪事が発覚してしまうことでしたが、いざウィジャ盤を目の前にすると、千恵子さんと私はその禍々しさに圧倒されているばかりでしたので、時子さんが淡々と準備をはじめてくれました。

 物音を立てないように、机を少しばかり動かし、ウィジャ盤を丁寧に置きました。

 千恵子さんは黒板を背に、時子さんは夕日を背に、私は時子さんと向かい合わせになり、ウィジャ盤を囲みました。

 三人で手をつなぎ、目を瞑りました。これは私たち三人なりの儀式です。最初、私は優しく二人の手を握っていたのですが、少しずつ強く握ってしまいました。二人も私に合わせてくれるように強く強く握り返してくれました。

 一分近く経ち、時子さんが手をほどき、次に千恵子さんが手を離しました。

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