第102話 隣国へ

 隣国への視察の準備は整った。


 私はご令嬢視察団のみんなと一緒に、城下町の正門に立っている。


 移動用の馬車が二台。後方では微笑ましそうにアルレアもこちらを見ている。


 空を見上げると、小さな鳥の影も見えた。ビッグも無事に合図を受け取り、森から飛び立ったようだ。


 隣国ダリルズ。そこで私の無限スキル枠について、何か新しくわかることはあるだろうか。


 赤フードは私の荷物の中に入っている。


 向こうではなるべくエルバルクの令嬢として過ごすつもりだが……きっとそうも言っていられないだろう。


 おしとやかな令嬢と、最強の赤フードの冒険者。


 私はこれからも二つの姿を使い分けて、生きていくつもりだ。


「それじゃあ、出発!」


 そうして、赤フードの冒険者の新しい旅が始まった。


【終】

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おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。 月海水 @tukimisui

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