234 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉20 宝物庫の守護者 銀砂宝環機HGNエングレイブドAR8

 銀色の砂が宙を舞う中、時間が巻き戻って行く。

 時間を巻き戻されてしまったが、あの砂時計が力を発揮する事は無い筈だ。その証拠に銀色の砂が今も宙を舞い続け、砕けた砂時計が修復される気配も無く。ただ、時間が巻き戻って行くだけからだ。それに、ラストドライブな上にファイナルリターンなんて言ってるんだし、そうじゃなかったら詐欺も良い所だろ。


『『quick hourglass EX third full drive ――last evolve‼‼‼‼』』


 ゴッ!! 銀色の砂が宙に溶けて消えると、エングレイブドの居る位置から三度光が立ち昇る。ほぉ~、エングレイブドは速攻進化を実行した見たいだな。


 エングレイブドの変化は直ぐ始まったので、こちらもエングレイブドに突撃する準備をしつつ、エングレイブドが如何パワーUPするのか『星覚』確認して置く。


 エングレイブドは大きく変化したが、やはりサイズの変化は顕著だ。

 キャノン砲の砲身を含まずとも体高50mを超え、横にもかなり大きく為っている。その所為かずっと六本脚だったのが二脚追加され八本脚になり、更に近接戦闘モードの時に出して来たロボットアームとは別に、副腕が増え四本腕変わっていた。

 当然の如くキャノン砲も二門増え、おまけにエングレイブドの機体の背後には、巨大な構造物が出現していた。


 その構造物は、三つの巨大砂時計を交差させた様なオブジェクトと、そのオブジェクトを支える三つの巨大なリングで構成されている。そのリングには、太陽など恒星を思わせる様なデザインがされ、中心のオブジェクトの中にはキラキラと輝く砂らしき物が入っていた。これもまた、砂時計という事なんだろう。


 それにしてもこれ、頭こそ増えなかったけど各パーツが増設された上に、何かヤバそうな巨大構造物が出現してるんだが!? やっぱラストは伊達じゃないって事か!


『charge shooting ――silver dust nebula cannon cosmic web laser』

『EHGN energy great charge ――1』


 ゴガン!! ギュオン!!バリバリバリバリィッ!!!

 八本のロングバレルキャノン砲が完全に上下に分かれ、白銀の光をスパークさせる!!


 こちらは極太レーザーが発射される前に、時間の巻き戻しで搭乗機が金色千手阿修羅に戻って居たサレスに、再び大日金剛太郎マグナ・アウルムウルサスEXに搭乗して貰い『天道日輪金剛不壊』の発動準備をお願いする。

 これは、完全に移動時間短縮とそのまま無敵状態でエングレイブドを殴るための物だ。もちろん、エナには『流水流転・天環』で時間遅延対策をしてもらう。


 あれ? そう言えば、カウントダウンがリセットされてるよな?

 前はリセットされなかったのに……、チャージの種類が変わったからか?


 ドバシュ――――――――――――――――ッッッッ!!!!!!!!!

 白銀に輝く八本の極太レーザーが、こちらを直接狙うのではなく天を覆う様に放たれる!!


 シュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!

 極太レーザーから枝分れする様に上下左右様々な方向に照射され、更にそこからまた枝分れする様に光線は細くなるが照射する事を繰り返す!! 


 最初は蜘蛛の巣の様だったが、その網目を作り出すレーザーは極太の物も含め動くため、複雑怪奇な立体網目構造を作り出して行く。宇宙の大規模構造、コズミックウェブを冠する攻撃なだけは有るな。


 しかしこれって、シューティングゲームなら無理ゲーと言われても可笑しくない様な状況だよな。まあ、シューティングゲームじゃないし対処も出来るけどな。


『決して揺らぐ事も壊れる事も無い金剛界の叡智の輝きよ! 天道を行く日輪の輝きと成りて我らを照らせ! 『天道日輪金剛不壊』!!』


 再びBTフィールドに、大日如来の姿が映り込む黄金の太陽が出現し、その柔らかく暖かな黄金の光がエルナ達を包み込む!


 シャシャシャシャシャシャシャシャ!!ジュバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!! 雨が降り注ぐが如く照射される冷たい白銀のレーザー光を、『天道日輪金剛不壊』の黄金の太陽の光が全て纏めて退ける!!


 やはり、『天道日輪金剛不壊』はこの攻撃に対しても問題無く有効だ。

 流石は無敵効果。ならばやる事は前と同じ、最短最速でエングレイブドに近接攻撃を打ち噛ます事だ!!


 なので。前回同様、最大速度で皆一直線にエングレイブドに向かって移動する!


『!? 『thunder elementglass ――arc lightning』!!』

『EHGN energy great charge ――2』


 カッ!!! ドゴンッ!!!!! 全てのレーザー光の間を眩しい光が一瞬で駆け抜ける!


 今のは所謂通常手段による回避が不可能な攻撃、しかも今のはアーク放電。つまりプラズマ攻撃だ。真面に喰らったら只では済まない奴だな。

 ま、無敵状態だから全く問題無いけどね!


『!!?『earth elementglass ――gaia jewel shield』!!』

『uninterceptable!! shift to close combat mode!!』


 シャキーン!! 色とりどりの宝石の障壁がエングレイブドを囲う様に出現し、コッコッコッと音を立て近接戦闘形態へと変わって往く。


 おっ!? 防御を固めて近接戦闘モードに移行したぞ?

 そっか! 漸く迎撃できないって諦めたのか!


 シュオン!! 一気にエングレイブド接敵する!

 良し! 一発かましてやる!! 直ぐ様、雷鋼輝槍エレアロードヴェインを十文字槍の様に展開、その穂先に恒星の火炎が灯る!!


『螺旋焔流星!!!!』


 『螺旋流星焔滅煌』改め『螺旋焔流星』のアーツを発動する!

 一直線に飛行して敵に突っ込むんだから、今こそこれを使う可きでしょ!!


 シュィィ――――――――――ン!!!!! エレアロードヴェインの穂先が高速回転し、超高温のフレアが美しく輝く光円柱を作り出す!!


『danger!!『metal elementglass ――gigant cold metal wall』!!』

『metal elementglass ――hard metal mightyUP!!』


 グオン!! ドゴドゴン!!! エングレイブドのボディに深み有る銀の輝きが宿り、宝石の障壁の外側に青く冷え冷えとした金属の巨壁が迫上がり、エングレイブドの姿を完全に隠してしまう。もちろん、そんなの気にせず突っ込む!!


 ヒュォォ――――――ッッ!!!シュババァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!! 『螺旋焔流星』の恒星の火炎が金属壁,宝石障壁と消し飛ばし、エングレイブドの白銀のボディに直撃する!!


『GAGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!?』

『ssssssssstop hourglass ――mybody!?』


 ギィィ――――――――――ッッ!!!!!ジュババババァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!! エングレイブドが超高温の恒星のフレアの威力に、堪らず自身の時間を止め『螺旋焔流星』の超火力に耐える!!


 おっ、エングレイブドは無敵技の一つを切ったか。

 ふふっ、これは良い先制攻撃を噛ませたんじゃないか?

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