142 〈呪霊灰山 3合目〉鬼熊狩り
朝5時と辺りは暗く太陽はまだ姿を見せていないが、集落の人達は既に修行を始めていた。そんな中ログインしてする事は、桜,サレス,チナ,チエを呼び出す事だ。
「にゅ! おはようなのじゃ!」
「主様! 皆様方! おはようなのです!」
チナとチエが元気よく朝の挨拶をする。
「二人共おはよう」
「チナさん、チエさん、おはようございます」
朝の挨拶にちょっと戸惑う。俺にとっては一時間ちょい位前の事だが、チナとチエにとっては昨日の事なんだよな。
ちなみに、サレスは「おっす」と言いそうな雰囲気で片手を軽く上げて挨拶する。
集落の人達に挨拶をして結界を出る。
来るのは何度目かに為る、3合目と4合目の境まで来ると。
案の定、崖道の途中に出来た広場の先は、巨石で塞がれていた。
¶エリアBOSS 道塞鬼熊 銀刃剣山のBFに侵入しました。
アナウンスが流れると通算三度目となる巨大な鬼熊が巨石から姿を現す。
今回の鬼熊は大きさは前の二匹とは変わらないが、額に生える角が大剣かと見紛うほど鋭く、金属光沢を帯びた物と成っている。毛皮は、チエの髪を思わせる様な白に銀の輝きを帯びた物で、この鬼熊は一応シロクマと言える物だろう。
グォオオオオオオオオッ!! 鬼熊は前に二匹と違って立たずに、そのまま姿勢で銀色の闘気のオーラを漲らせ突進して来る!
『誘引挑発!!』
桜が崖壁の有る山側の方に、ルナティックアトラクトを出現させヘイトを取る。
崖下に落とす様に誘導しても良かったのかもしれないが、そうすると落とした後の処置が面倒になると桜は判断したんだろう。
グォオオオオオオオオオッ!!! 鬼熊は盾に引き寄せられる様に崖に突撃する。
ドゴンッ!! 前回の鬼熊黒鉄力が減り込んだ場所に、鬼熊銀刃剣山が突っ込み土煙が舞い上がる。
透かさず俺はその土煙の中にアーツを叩き込む。
『アステルイリスシャワーダンス!!』
ヒュバババァッ!! 虹の軌跡を描きながら無数に分裂した矢が、土煙が舞う中にヒュンヒュンと飛び込んで行く。
バババババババアァ――――――ン!! グォガアアアアアアアアアアッ!!!!
土煙を吹き飛ばす様に、爆音と共に虹色の光が何度もフラッシュし、広場に鬼熊の苦悶の声が響き渡る。
「『チャージダッシュバーニア』『怪撃 岩砕山壊』!!!」
姿の見えた鬼熊にサレスが、青いスパークを発しながら突進!
その勢いを乗せた金棒、轟砕鬼頑のアーツを叩き込む!
ドゴシャ――ッ!! と鈍い音が怪撃の効果で辺りに響く。
サレスの一撃は鬼熊の左前肢を折ったのだ。
グォガアアアアアアアアアッ!!!! 『爪剣斬牙』鬼熊の爪と牙が銀色に輝く剣へと姿を変え、己の骨を折った下手人を襲う!
ギイィィィンッ!! ガギガリイィィッ!! 大盾で防ぐのが間に合わず、右前脚の振り下ろしと噛みつき攻撃が、コスモマテリアルの鎧から嫌な音を立てる。
ガジガジとサレスに噛みつく鬼熊に、音も無く忍び寄ったチエが背後から首を落とす様にアーツを発動した。
ちなみに、絵面的にサレスは鬼熊に食われている様にしか見えない。
『通力岩斬』
ゴッ!! 飛来霊刃グラディオリギュムが鬼熊の首を見事に落とす。
「うおっ!」
サレスがそのまま、首を落とされた鬼熊の口の中に入ってしまったが。
¶エリアBOSS 道塞鬼熊 銀刃剣山を討伐しました。
討伐報酬がギフトボックスに送られます。後でご確認ください。
アナウンスが流れ、如何やら無事討伐出来た様だ。
「主様やりました!」
チエがにこやかに此方に手を振っている。
ティアーズクロワに倒した鬼熊を収納すると、鬼熊の口の中に居たサレスも解放される。って言うか、この鬼熊ドロップ化してないぞ?
前の二匹はドロップ化したのに何でだろうな?
「にゅぅ、わち何もちてないのじゃ」
おっと、チナが活躍できなくて落ち込んでるぞ。
少し落ち込んで、伏し目がちな表情のチナも可愛いな。
「しょうがないよチナ。あのクマ少しはパワーUPしてる見たいだけど、元がそんなに強くない見たいだしね」
「ふにゅぅ、クマしゃんへの攻撃は早い者勝ちなのじゃ?」
「まあ、そうなるよね~」
「うにゅ! 次はわちが止めを刺しゅのじゃ!」
ほう、チナさんやる気満々じゃないですか。
まあ、確かに鬼熊はまだ出て来そうだし、6合目の先の仕掛け何かにも関わってそうな気がするからな。狩れるだけ狩るか!
広場が見え無くなる位離れてから、再び広場に戻って来ると巨石が復活していた。
結論から言うと。この分を含め、鬼熊は三回出て来た。
で。出て来たのは、道塞鬼熊
道塞鬼熊
エメラルドで出来た木を森や林の様に地面から生やす攻撃。そして、そのエメラルドツリーを破裂させる攻撃を仕掛けて来た。エメラルド〇プ〇ッ〇ュ、って言いたくなる様な攻撃だったよ。で、こいつは皆でボコって倒した。
道塞鬼熊
こいつは水を操るサファイアを至る所に生成してトラップの様に使い、突如発生する水の竜巻や大量の水で崖から押し流す攻撃等をして来た。こちらは空を飛べるし、チナの錬磨万霊水神刀エグゼラフィスルの切れ味が、鬼熊の操る水の所為で上がりまくったお陰で、最後はチナにバラバラに切り刻まれて終了だ。
チナも活躍出来て満足した様だったな。
道塞鬼熊
地面が溶ける程の炎を噴き上げ、爆炎を撒き散らすルビーの散弾を飛ばして来るなかなか厄介なクマだった。こいつは、エルナの『
そんな感じで、3合目のエリアボスは打ち止めと成った。
もう日も登り、すっかり朝の様子である。
しかし、このクマ達。クマな上に金属や宝石の名前や特徴を持ってるなんて、【煉爪振るう武技の真髄】大神ヴァルスカザリスの影響でも受けているのだろうか?
何せヴァルスカザリスと言えば、色彩豊かな様々な鉱物と宝石が、無数に組み変わる直立した巨大熊の姿をしているとされるのだ。な、関係有りそうだろ?
ちなみに、この大神もとは色んな世界を放浪し、武者修行の旅をして居たのだが。この世界は有る理由から、かの大神にとって最高の修行場となり、ヴァルスカザリスはこの世界に腰を据える事にしたのだ。
更にヴァルスカザリス関連で言えば、師匠ともいえる大神【地に立ち海に任せ空を思う黒翼】ルゥレングクライトス。修行仲間の大神、【煉軌連なる打闘の命群気】カラムシェレント等がこの世界にはいる様だ。
追記、ルゥレングクライトスはペンギン、カラムシェレントは人型の蟻の姿をしているらしいな。
それじゃあ、討伐報酬の確認をしたら4合目に有る霊木跡地に行きますか。
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