第39話 しまづの宴会その4 よしひさの演説解説編

よしひさの宴会での挨拶が天地を轟かすほど盛り上がったのにはいくつか理由があります。

まず、社長よしひさは演説が凄くうまいという特技がありました。


よしひさ自身は意識していませんでしたが、彼の声が声優の福山潤に似ているため演説をさせると強力に人を引き寄せる効果がありました。

そして、今回の演説の下地になったのは「機動剣士ガンタム」でも屈指の名シーンである敵の親玉の演説だったので、ちょうどしまづ社内の流行と合致していました。


つまり、皆が知っている物語のパロディーだったので盛り上がったという面もあります。

しかし、それだけではなく内容がしまづの社員の心に刺さる内容であることも見逃せません。


田舎で偏狭というコンプレックスを持つしまづの県の出身者は少なくありません。

その小さい辺境の民が、いかに苦労したかを切々と説明し、気持ちを代弁した内容、それを自分たちの大将である社長が過不足なく説明したことに感動した人も多くいました。


しまづの県から都会に行く仲間たちも多い中、それでもしまづの県で頑張ろうとする仲間たちの心を揺さぶる演説はまさにドストライクでした。

さらに、そうした点をうじうじするのではなく、日頃の努力に触れながら、いつか見返してやろうという心意気もまた、社員の中に響くものがありました。


最近しまづがカードゲームで善戦し、会社の勢いが増している点もこの演説とマッチしていました。

これらは策士、専務のとしひさの計算通りのシナリオでした。


いわゆる会社の士気を上昇させるという目的を見事達成する演説でした。

副社長のよしひろ、常務のいえひさや室長のとよひさ、そして諸々のしまづの社員たちは見事その目的通り会社に対する熱意を大きく強めることに成功しました。


その一方でこの演説をした社長のよしひさや相談役のただよし、たかひさなどは何か危うさを心の奥底に感じていました。

とはいえ、よしひさはあくまで宴会の余興だと思い直しました。


※島津家自体はもともと京の近衛家の部下であり、薩摩や大隅、日向に土地があるということでその管理のために下向してきた流れがあります。

荘園管理という役割を近衛家から受けた流れから現代に至るまでつながりがあるということです。


本作では京対辺境の田舎という対立の構図を設定上乗せていますが、近衛家との信頼関係は別腹ということでよろしくお願いします。


なお、こじ付けっぽいですが、ガンダムの設定で一番地球から遠いコロニーがジオンの本拠地であるサイド3という設定で、中央から極めて遠い荘園であった島津荘園と類似点があるといえるかも。


それとギレン・ザビの演説では末弟であるガルマ・ザビの戦死、追悼の演説となっていますが本編では末弟のいえひさは生存していることになっているのでその部分の原稿はとしひさが削除したという流れになっています。


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