第六章

第95話 <贄>の秘密①

 夏の日差しが穏やかに変わり、少しずつ秋の気配が近づいてきたころ――

「紅玉宮もだいぶ元の雰囲気に戻ってきましたね。従者の皆さんの振る舞いが洗練されている」

「それは、どうも。……過去、務めてくれていた古株たちが、無償で彼らの教育のために来てくれたおかげです。今、何も知らない者がここを訪れたとしても、彼らの左腕に消えない焼き印が刻印されているなどと思うものはほとんどいないでしょう」

 今日は、久しぶりにクルサールがやってくる日だった。金髪碧眼の青年と、紅玉宮を回りながらのんびりと会話する。

「とはいえ、皆勤勉な様子だ。庭園にも手が加えられているようですね。庭師の適性がある奴隷はリストに無かったと思いますが」

 何かを探るような瞳を向けられ、ミレニアは軽く肩をすくめる。

「土いじりの趣味に目覚めた者がいたのですよ。……奴隷の身では、趣味を持つなど夢のまた夢。自分が草花を世話することが好きだなんて、考えたこともなかったのでしょう。他にも、読書に目覚める者や、お菓子作りに目覚める者など、各々趣味を見つけているようですよ」

「ほぅ。それは素晴らしい。……さすが、黒玉の君。人に貴賎なし、を体現した行いですね」

「そんな大層なことを考えているわけでは……所詮は自己満足に過ぎません。彼らの一年後を想えば、むしろ残酷なことをしてしまっているのかもしれない」

 ミレニアは、数々の”面接”で、老若男女問わず、奴隷たちをあっさりと心酔させてしまった。彼ら全員を分け隔てなく一人の『人間』として扱い、削減された予算をやりくりして、少ないながらも給金を支払った。普通、奴隷を雇用する金は商人に直接支払うものであり、奴隷たち個人に給金が支払われることはない。

 しかしミレニアは、皇族の従者としてはあり得ぬほど微々たる量ではあるものの、彼らの労をねぎらい、給金を支払い、休日を与え、街に降りて好きに過ごす権利まで与えた。

 枷のない状態で紅玉宮を出す許可を与えると言うことは、そのまま雲隠れされる可能性すらあるということだが、ミレニアは気にしなかった。逃亡して、自由を得るならばそれも良いと思っていた。

 だが、もう数か月たつが、誰一人いなくなった者はいない。むしろ、街で「ミレニア様のために」と言って毎度何かしらの土産を買って帰ってくるから、少ない給金をもっと自分のために使えと指導するくらいだ。

 あまりに奴隷たちが勤勉に活き活きと働き、自由に過ごすさまを見て、紅玉宮は『奴隷宮』と貴族たちに揶揄されるようになった。そうした噂が耳に入っていないわけでもないだろうに、奴隷たちはミレニアに余計な心労をかけさせまいと、笑顔で毎日はつらつと働いている。

(でも……彼らは、ここでの仕事が終われば、再び奴隷小屋に戻される……)

 ミレニアの小さな胸が切ない痛みを発する。

 ミレニアが<贄>として東へ送られれば、紅玉宮での仕事は終わり。再び枷を嵌められて、鉄格子の中に入れられ、毎日虚ろな瞳をして過ごす日々が待っている。

 一度、枷を付けずに、理不尽に耐えることなく、ただ毎日を『人間』として生きる自由を知ってしまった彼らは――再び『道具』として扱われる日常に耐えることが出来るのだろうか。

「お優しいミレニア姫は、きっと、彼らを再び絶望の日々に戻したくないでしょう。――私と一緒に、エラムイドに来て下さる気持ちになりましたか?」

「クルサール殿……」

 にこり、と完璧な笑顔を向けられて、ミレニアは苦い顔で呻く。

「私と結婚していただけるなら、ここにいる従者たちを、そのまま我々の新居に迎えると約束しましょう。勿論、枷などつけたり致しません。エラムイドには、奴隷の制度などありませんから、彼らを不当に差別するような者もいないでしょう」

 相変わらず、嫌なところを衝いてくる男だ。ミレニアは嘆息して視線を伏せる。

「勿論、貴女の大切な専属護衛殿も、ですよ。最近は、ずいぶんと私を信頼してくれているようで、とてもありがたい限りです」

「そう……ですか」

 ミレニアは曖昧に頷く。

 奴隷たちが紅玉宮にやってきてから、ロロは再びゴーティスの招集に応えて軍の任務を手伝うことが増えて行った。剣闘奴隷を数名雇ったことで、ミレニアの護衛としての能力に不足はないと判断したようだ。彼らの気持ちがわかるのか、ミレニアを裏切るようなこともないと安心しているのかもしれない。ゴーティスの不興を買ったせいで、代わりの軍人を派兵するという条件をかき消されてしまったが、それでもかまわないと任務の要請にこたえるようになったのがその証拠だろう。ちょうど今日も、ロロは任務に出ている。

「以前は、私が来る日は必ず鋭い目をしてミレニア姫の後ろに控えていたというのに――人は変わるものですね」

「……そう、かもしれませんね」

 あれほど、クルサールを警戒していたロロが、今はミレニアを預けるようにして紅玉宮を出ていく。

 最初に猛反対されたため、クルサールを紅玉宮の敷地内に招き入れることはしなかったが、今もう一度ミレニアがそうしたいと申し出れば、頷くのではないかと思うくらいだ。

(わかってる……ロロの狙いはきっと――)

「しっかりとミレニア姫の心を射止めろと、彼なりのエールなのでしょう」

「……はぁ……」

 クルサールの、世の中の女性の心を虜にするような甘い笑みを前に、ミレニアは憂鬱なため息を吐く。

 どうして、自分は、ロロに余計なことを言ってしまったのだろうか。

(私がクルサール殿に惚れれば、何もかもを投げ出して彼と生きる道を選ぶと、そう思っているんでしょう。全く……)

 何としても”未練”を作り、ミレニアが心から『生きたい』と思うような未来を見せる――

 ロロがあの日慟哭の中で告げた言葉が蘇り、思わずこめかみを抑えた。

(そのためならば、自分もクルサールへの警戒を解いて自然に振舞えるように努力する――そういう男よね、ロロというのは)

 ミレニアがクルサールの手を取らない理由は二つ。

 一つは、クルサールへの恋愛感情がないこと。

 もう一つは――ロロが、クルサールを快く思っていないこと。

 一つ目に関しては、クルサールが甘い言葉を吐いてあの手この手で口説くのを黙ってみていればいい。場合によっては、彼が口説きやすい環境を提供することもあるだろう。

 そして、もう一つに関しては――彼自身の心がけ一つだ。

 クルサールへの信頼を態度で表し、彼が傍にいるときも心を落ち着け、普通に振舞う。内心どのように思っているかはわからないが、表面上は、彼に対する以前のような警戒心は見られなくなっていた。

「私のような女を求めていただき、とてもありがたい限りですが――何度も申し上げますが、私はこの国のため、残された家族のため、民のため、この命を散らすことを受け入れています。自分の命可愛さに、貴殿と結婚してまで生きながらえたいと思うような女ではありません」

「その、高尚な思想こそが、私を惹きつけるのです。ミレニア姫。――どうか、私と共に来てくれませんか」

(本当に話を聞かないわね、この男……!)

 何度振られても諦めずに繰り返す神経の図太さは、いっそ見事だ。

「それに――今となっては、少し状況が違うでしょう。貴女が生き残れば、この紅玉宮に仕えている奴隷たちが救われます。……貴女が死ねば、彼らは間違いなく不幸になる」

「ぅ……」

「可哀想に……再び枷を嵌められ、理不尽に鞭うたれ、涙を流し絶望に浸る毎日を送ることになるのですね……」

「っ……卑怯ですよ、クルサール殿……!」

「私は、事実を述べているだけです」

 にこり、と笑う笑顔に、苛立ちに似た感情が湧き上がる。

「第一、仮に貴殿と婚姻を結ぶとして――どうやって、お兄様たちを納得させるおつもりですか?ギークお兄様も、カルディアス公爵も、決して納得しないでしょう。……無理矢理私を拘束して、<贄>の効果の消滅など待たずに問答無用で東に送られるだけだわ」

 そもそも、彼らの狙いは国防などではない。目障りかつ憎たらしいミレニアを始末することなのだ。――少なくとも、ギークに至ってはそれしか考えていないだろう。そうした個人的な感情だけで物事を決める様を、愚かな皇帝と揶揄されているのだから。

「それに関してはご安心を。――もしもミレニア姫が心変わりをしたら、という点については、既にロロ殿と打ち合わせております」

「何ですって……!?」

 あっさりと言ってのけたクルサールの言葉が信じられず、ミレニアは思わず目を見開いて隣の美丈夫を見上げる。

 いつの間に、そこまでロロを懐柔したと言うのか。

 にこにことした感情の読めない笑顔が、ミレニアを見下ろしてきた。

「私も、貴女の兄上たちがすんなりと納得してくださるとは思えませんので……まずは、貴女をこの紅玉宮からこっそりと連れ出します」

「な――!?」

「さすが専属護衛兵。既にロロ殿は、いざというときの逃走経路について、いくつも候補を知っていらっしゃるようでした。それを使って、貴女を逃がし――ひと晩が明けてから、私は陛下に上申します。ミレニア姫を妻として娶ることを」

 開いた口が塞がらない、とはこのことだ。あんぐりと、属国の代表者を名乗る青年を見上げる。

「相手側が、<贄>の責務を全うさせるのだと言う論理で来るなら、無属性の男と結婚することでその責務を外させることが出来るという我が国の慣習を持ち出して説得します。皇族を簡単に結婚させられない、という論で来るならば、属国の代表者である私と婚姻関係を結ぶことは両国の橋渡しとして問題がないと説得します。……まぁ、どんな論出来たとしても、もともとミレニア姫は、我が国の血を引く姫でもありますから、最後は『我らの血族を返してもらうだけだ』と言って突っぱねるだけですけれどね」

「そ――んな……」

「勿論、この計画に賛同してくれているのは、ロロ殿だけではありません。ここで働く従者の者たちも、全員が全力で協力すると鼻息荒く答えてくれましたよ」

 にこり、と笑って言うクルサールに、ひくり、と頬を引きつらせる。

 ロロに、奴隷の従者たち。外堀から埋めるようにして、ミレニアの逃げ道を塞いで手に入れようとする周到さは筋金入りだ。

「さぁ、あとは、ミレニア姫。貴女がうなずいてさえくれれば良いのですよ」

 まるで、悪魔が囁くように。

 ”神”を信じると明言する男は、蠱惑的な響きを持った声音で甘く囁く。

「っ……」

 ぞくり、と背筋が泡立つ感覚に、ミレニアは息を詰める。

 しばし、瞳を困惑させるようにして揺らした後――

「少し――少しだけ、待って、下さい……」

「ほぅ……?」

 今までの、完全拒絶とは異なる返事に、紺碧の瞳がキラリと興味深そうに光る。

「それは、前向きにご検討いただけるというお返事と受け取ってもよろしいですか……?」

 すぃっとミレニアの頬を優しく撫でるようにして包み込み、うつむく顔をやんわりと上げさせられる。

 決して強くはない力なのになぜか振り払えぬ強制力を持った不思議なその仕草に、視線は合わせぬまま、ミレニアは観念したようにゆっくりと口を開いた。 

「……ロロや、従者たちが、貴殿に想像以上に心を開き、信頼していることはわかりました。私の命を救おうと必死になってくれていることもわかります。……何より、貴殿の言う通り、少し前と、今とでは、状況が違う。――私が死ぬことで、不幸になる人たちが、出来てしまった」

「ふっ……そうですね。……ロロ殿と違い、奴隷小屋に戻されてしまう彼らは、不幸に沈んだとて己で己の命を絶つことすら出来ぬでしょう」

 手を離すことなく、心の隙間に染み入るような声音で、クルサールは悪魔のような囁きを繰り返す。

「ですが、私がこの国を憂う気持ちも、本物です。もしも貴殿の言う通り、あの儀式が如何様でないなら――私の命一つで救われる帝都の民が、どれだけいることでしょう」

「ふむ……それに関しては、間違いなく、その通りですね」

「私が<贄>の責務を放棄したことで、あの悪夢のような魔物の襲撃が再び起きて、帝都が壊滅したと言う報を聞いては――私は、確実に、心を病みます。やはり私が死ぬべきだったと、後悔してもしきれない」

「ふむ……」

 クルサールは、ふ……とミレニアから手を離し、己の顎に手を当てて何事かを考えるような顔つきになった。

 解き放たれたミレニアは、慌てて一歩距離を取り、さっとうつむき、今朝、ヴァイオレットが美しく結い上げてくれた髪で軽く顔を隠す。

「もう少し――もう少しで、<贄>の秘密が、わかりそうなのです……」

「……ほぅ……?それは、一体、どういう――?」

 ひやりっ……

 ほんの少しだけ、場の空気が冷えたような錯覚を覚える。

(やはり――口では何と言っていても、クルサール殿は、”神”を信じる御方。神秘的な儀式の謎を解き明かそうなどと言われて、快く思うはずがないわよね……)

 だからこそ、黙っていたかったが、こうなっては仕方がない。

 ミレニアは観念して、ゆっくりと口を開いた。

「あの日の儀式が、如何様ではないと言うのなら――”神”を信じぬ帝国の血が混ざった私にも、<贄>の適正があるということです」

「……そう、ですね。ですが、それが何か――」

「つまり――<贄>は、帝国の民にも務められるのではないでしょうか」

「――――!」

 ハッ……とクルサールの碧玉の瞳が大きく見開かれる。

 ミレニアは、クルサールの不興をなるべく買わぬよう、言葉を選んでゆっくりと言葉を紡ぐ。

「誤解なさらないでください。貴殿らの信仰を軽んじているわけではありません。ただ……私は、どうしても、帝国の皇族として生きた十四年があります。もう何百年も機能し続けてきたという貴国の国防システムは、儀式における”神”による選別などではなく、誰も気づかなかっただけで、何かしらの法則や仕組みにのっとったものだったのではないかと、そう考えたのです」

「…………」

「決して、貴国での儀式や信仰を批判するような意図はありません。ただ――このままでは、貴国の民が、帝国の国防のために無理矢理に引き立てられ、命を落としていく……そうですよね……?」

「はい。酷く口惜しいことですが、このままでは、その運命は変えられないでしょう」

 クルサールの苦い声が低く響く。

 ごくり、とミレニアは唾を飲んでから、意を決したように顔を上げ、桜色の唇を開いた。

「もしも――もしも、<贄>が”神”の寵愛や気まぐれで選別されるものではないとしたら――”神”を信じていない、”神”がいないイラグエナムの民も、<贄>の資格を得ることが出来ます……!」

「――――……」

「そうすれば、貴国の民だけで国防を担う必要はなくなる……!得体のしれない儀式で”神”の意志によって選ばれるものだと信じているうちは、帝国の国防として受け入れられることはないでしょうが――帝国の民にもその資格がある、と証明が出来れば、貴国だけが不利益を被ることはなくなるのです……!」

 クルサールは、じっと顎に手を当てて、何かを真剣に考え込んでいる。

 ミレニアは、必死になって言い募る。

「私に<贄>の資格があった――ここにヒントがあると思っています。あの儀式を受けた日から毎日、少しずつ文献や過去の<贄>の系譜をたどって、何かしらの共通点がないか、調べているところなのです……!」

「……ほぅ……ですが、それは既にわが国でも行われた研究です。結果として、<贄>に共通点は存在しないと結論付けられた。魔法属性を持たない子供、という共通点しかないのですよ」

「っ……それは――そう、かもしれませんが――でも、その研究者たちが調べた系譜の中に、私という特異な例はなかったはずです!」

 ミレニアの反論に、クルサールは押し黙る。

「第一、<贄>を捧げる――というのも、よくわかりません。要は、魔物に襲わせ、食わせるということでしょう。それでどうして、魔物を防ぐ結界のような役割になるのでしょうか」

「それは――<贄>を捧げられた”神”が、慈悲の心でその土地をお守りくださるのですよ」

「クルサール殿……信仰を、『先人が都合よく国を治めるためのもの』と言い切った貴方が、まさか、本気でそれを信じておられるのですか……?」

 おそらくエラムイドの中では当たり前の考えを諳んじた青年に、いぶかしんだ視線を送ると、クスリと吐息だけで笑みが返ってきた。

「……魔物に食わせる、というところが、何かの条件なのでしょう。血を飲ませるとか、肉を食わせるとか――でも、それを解明できれば、無為に命を落とす必要がなくなるのかもしれない」

「ほぅ……?」

「例えば、事前に<贄>候補から少しずつ血を抜いておいて、それをたっぷり入れた桶を配置して魔物に飲ませるとか――かつて<贄>候補から結婚などで候補外となった者が死んだ後、遺体を食わせるとか」

「ふっ……なるほど、面白い。そんな発想は、”神”を重んじる我が国では決して出てきませんね」

 クスクスと愉快そうに笑い声をあげるクルサールの表情は、どこか仮面のようで、心の奥が読みにくい。

 ぞくり、と何か心の奥が冷えるような感覚を味わいながら、ミレニアはゆっくりと噛みしめるように言葉を紡ぐ。

「だから――だから、少し、時間をください……これ以上、国家のために、罪のない哀れな子供が犠牲になるようなことがないように――誰かの犠牲の上に成り立つ平穏ではなく、確かな理論に裏付けられたシステムを以て、秩序を保つような国家を……作りたいのです。我が国のためにも、貴国の未来のためにも」

 最後の方は、消え入りそうな声だった。

 クルサールは何かをじっと考え込んだ後、ふわりと完璧な笑顔を作る。

 まるで、この世に顕現した”神”のように慈愛に満ちた、完璧な笑み。

「わかりました。――駄目だと言っても、貴女はその探求を続けるのでしょう。仮に、私と結婚したとしても、です」

「――……はい」

「では、どうぞ、思うままに続けてください。……とはいえ、タイムリミットは設けさせていただきますよ。貴女が<贄>として送られる時期が来てしまっては、意味がない」

 再びクルサールは、優しくミレニアの頬を包む。

 ”神”が人間に救いを与えるように――恋人が愛を囁くように。

「あと、半年。――貴女の十五の誕生日まで。その辺りが、前回捧げられた<贄>の効力の限界でしょう。それまでは、好きなだけ、その身を粉にして調べてください」

「クルサール殿……」

「ですが、タイムリミットが来たら――貴女の十五の誕生日の夜が来たら、その時点で貴女の探求が実を結んでいようがいまいが関係なく、問答無用で計画を実行します。貴女はこの紅玉宮を抜け出して、私と生涯を供にする。良いですね?」

「っ……」

 どこか甘さを感じるような蕩ける声音は、巧みに心の隙間に入り込んでくる。

 悪魔のようなその囁きを前に――

「――はい……」

 ミレニアは、そっと、頷きを返していた。

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