433話 スロウス&ゴッドインパクト

 女神様に圧倒されていた俺だが、工夫して何とか必殺の一撃を入れた。

 俺のカンチョー攻撃をくらった彼女は、悶え苦しんでいる。


「痛い痛いっ! 痛いですぅ~」


「どうだ! 参ったか!」


「くううぅっ! 神様に向かってこんなこと! 許されませんよ!!」


「こんなこと? こんなことって、どんなことだ?」


「くっ……」


 女神様は悔しそうに唇を噛む。


「ほら、早く説明しろよ」


「う、うるさいですね! 黙りなさい!」


「言ってみろよ。『わたしの卑しいケツ穴にカンチョーされた』ってな」


「こ、この下等生物めがっ! もう容赦しません! 神罰を与えます!!」


 女神様は怒りの表情で立ち上がる。

 やはり神様。

 ダメージからの回復も早いか。

 常人なら、人口肛門になるかというぐらいの力加減でぶっ刺したのに。

 もう立ち上がるとは。


(いや、それよりも……。これはマズいかもしれん。さすがに調子に乗りすぎた)


 女神様から立ち上るオーラが増している。

 これは、魔力や闘気などとはまた一味違った力――神気だ。


「くっくっく……」


 女神様は不気味な笑みを浮かべた。


「あーはっはっはっ! 愚かな人間め。わたしの力をとくと見るがいいです! 【アクセル】!!」


 女神様も俺と同じスキルを発動させた。

 そして俺と同じように加速した状態で、こちらに迫ってくる。


「死ねぇぇぇっ!!!」


 女神様の手刀が俺を襲う。

 だが――


「甘いな」


 俺は女神様の攻撃を避ける。


「甘いのはそっちです! くらいなさい! 【スロウス】!!」


 女神様が俺に手をかざし、スキルを発動する。

 すると、俺の動きが鈍くなった。


「なーんーだーとーっ!?」


「ふふ……これで終わりです」


 女神様は俺の頭上に飛び上がると、両手を組んでハンマーのように振り下ろす。


「死になさい! 【ゴッドインパクト】!!」


「ぐーあーあーあーぁーっ!!」


 自分の口から、何とも言えない間延びした悲鳴が発せられているのが聞こえる。

 そして、体に激痛が走る。

 五感は通常速度のままなのに、身体の操作速度だけが異常に遅い。

 これが『スロウス』の効果か。

 確か、特殊上級ジョブ『英雄』のさらに上――『勇者』のアクティブスキルだな。


 そして『ゴッドインパクト』。

 これは運営側キャラの限定ジョブ『神』のアクティブスキルだったはずだ。

 彼女がここまでに使ったスキルは、『アクセル』『スロウス』『ゴッドインパクト』。

 さすがは女神様だけあり、様々なジョブのスキルを自在に使えるらしい。


「くーそーぉーっ!!」


「おや? 今ので死にませんでしたか……」


 女神様がこちらを睨む。

 本格的にマズいぞ。

 一時の勢いでカンチョーなんかしたのはマズかったか……。

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