430話 金玉が爆発しますよ
ここは夢の世界か、次元の狭間か――。
不可思議な場所で、俺は女神様と話していた。
「『英雄』の副作用で俺が死ぬって?」
「はい」
「一体どういうことだ?」
「簡単に言えば、金玉が爆発するのです」
「……は?」
女神様の言葉の意味が分からず、俺は思わず固まってしまった。
それにしても、女神様が金玉なんて単語を発するとは。
ふふ……。
それだけで、思わずモノが反応してしまうぜ。
「特殊上級ジョブ『英雄』の副次的な恩恵――あるいは呪いとして、性欲や精力が高まるというものがあります」
「ああ。おかげさまで、美少女たちと毎晩楽しませてもらっているぜ」
日本にいるときから、俺は女好きだった。
社畜になってからはややご無沙汰だったが、潜在的な欲求はずっと持っていた。
しかしさすがに、今や10人にも及ぶハーレムメンバーをずっと満足させ続けられるほどの性欲や精力はなかっ
た。
「はい。ですが、そのせいであなたの金玉が限界を迎えようとしているのですよ」
「え!?」
まさか、それが理由で俺が死にかけているのか?
「あなたの金玉は、ハイレベルで稼働を続けています。あなたが風邪で寝込んでいる間にも……」
「な、なるほど。つまり、放出が足りなかったと」
3日前の夜は、いつも通りに『夜の運動会』を楽しんだ。
シルヴィの『絶対零度』で凍結させられたのが、2日前の昼頃だったか。
凍結状態から解除されたのが、その日の夕方。
その時点では少し寒気を感じる程度だったが、念のため『夜の運動会』はしないまま早めに就寝。
そして昨日目覚めたときには風邪をひいていた。
朝から晩までずっと寝て過ごし、当然『運動会』は開催していない。
強いて言えば、夕方頃にメイドのネリスが持つタオルの中に放出したぐらいだな。
しかし、あれもたった一発だけ。
普段の俺からすれば、あってないような発散具合だな。
その後は何もなく、今現在は深夜。
「言われてみれば、実質的に2日以上放出していないわけか」
「そうですね。そろそろ金玉が爆発しますよ」
綺麗な顔をした女神様が金玉金玉と連呼するもんじゃない。
神秘性がなくなっていくぞ。
「それはまた……困ったことになったものだ」
「はい。そこで、私からアドバイスですが」
「なんだ?」
「目が覚めたら、とりあえず近くにいる女性で放出しておきなさい。ちょうど、あなたを慕っている雌個体が何匹かいるでしょう」
女神様がそう言い放つ。
結構フレンドリーな感じなのだが、やはり人間とは違う存在なんだなぁ。
俺の愛するハーレムメンバーたちを『雌個体』呼ばわりとは。
いや、生物学的には間違っていないのだが、なんとなく嫌な呼び方だ。
「アドバイス、ありがたく受け取っておこう」
「はい。それではそろそろ――」
「だが、待ってほしい。俺からも最後に、言いたいこと――いや、しておきたいことがある」
俺は、女神様の言葉を遮って言う。
俺がしたいことはただ一つだ。
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