386話 新しいミッション

 俺たち『悠久の風』は、『毒蛇団』の掃討に向けて打ち合わせをしている。


「ええっと。新しいミッションが出たの? コウタ」


「実はそうなんだ。ウルゴ陛下との謁見をしているときにな」


 俺はミッションの内容をみんなと共有する。



ミッション

『悠久の風』の主導のもと『毒蛇団』を掃討せよ。

報酬:経験値(大)、魔石(大)



「迷宮からの生還ミッションと、報酬は同じなのです?」


「ああ。確かに、前回のミッションと報酬は全くいっしょだな」


 経験値(大)により、俺たちのジョブレベルは上がった。

 あのときは、連日の魔物狩りやダンジョンコアの破壊もあったから、なおさらたくさんのレベルが上がった。


「へへっ。悪くはねぇが、ちっと物足りねぇかもしれねぇな」


「リンの言うことにも一理ある。俺たちのジョブレベルは十分に上がったし、前回ほどのレベル向上は見込めないだろう」


 この世界のジョブレベルの上がり方は、日本でよくあるRPGのようなレベルアップ方式だ。

 レベルが上がるにつれて、次のレベルまでが遠くなる。

 同じ経験値(大)であっても、前回ほどの成長は見込めないだろう。


「……でも、あって困るものではないね……」


「ええ。それに魔石も助かりますわよ? これからエウロス男爵領を開拓するにあたって、初期資金は多いほどいいですから」


 ティータとローズがそう言った。

 魔石は売り払って資金にするのもいいし、何らかの形で利用するのもいいだろう。


「ああ。だから、今回の件ではこのミッションを達成することが最終目標だと思ってくれ。ウルゴ陛下やギルドマスターからの指示ともズレないし、問題ないだろう?」


「了解だぜ! コウタ親分!」


「……えっと。それが1つ目の件ですね。その目標を達成するための具体的な行動ですが……」


 エメラダが確認してくる。


「まずは武具の新調だ。エルカ迷宮の財宝部屋で、レア鉱石や金貨を大量に手に入れただろう? あれを元手に、俺たちみんなの武具を一新しよう」


「賛成ですわ。せっかくのお金ですもの。有効に使いませんと」


「ボクも同意なのです。みんなかなり強いけど、武器だけはちょっと性能不足なのです。作ったのがボクの武器もあるのですけど……」


 ローズとミナがそう言ってくれた。


「ああ。というわけで、明日にでもミナの鍛冶場にみんなで向かおう」


「了解なのです。ジョブレベルが上がったボクの実力を今こそ発揮するのです! ボクの従姉妹のミルキーさんにも手伝ってもらうのです」


 こうして、俺たち『悠久の風』は、まずは武具の新調をすることになった。

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