360話 最新ステータス セリア

「おっ! エルカの町が見えてきたな!」


 俺は前方を指差す。

 前方に見えてきたのは、エルカの町だ。


「おおっ……。ようやく到着ですか」


「長い旅だったね。宿屋でゆっくりしたいよ」


 シルヴィとユヅキがそう言う。

 俺に次いでジョブレベルが高い2人だが、さすがにこの長い旅で疲れたようだ。

 迷宮の深層に強制転移させられる魔法のせいで、1か月ほど籠もっていたからなぁ。


「最後まで油断は禁物ですにゃ。町に戻るまでが冒険ですにゃ」


「セリアの言う通りだな。……おっ。こいつは……」


 俺は茂みから飛び出してきた魔物に視線を向けた。


「ホーンラビットか」


「私に任せてくださいにゃ。【一閃突き】にゃ!」


 セリアが鋭い動きで槍を突き出す。

 すると、ホーンラビットは一撃のもとに絶命してしまった。


「さすがだな。セリアも十分に強いよな。受付嬢とは思えない」


「これでも、最低限は鍛えていたのですにゃ。それに、ダンジョンコアの破壊に立ち会わせていただけたことも大きいですにゃ」


 セリアがそう言う。

 ダンジョンコアを破壊した際に近くにいると、その魔力を吸収してジョブレベルが一気に上がる。

 攻略者ならではの特権と言えるだろう。

 セリアが合流したのは最後の方なので、彼女からすれば棚からぼた餅といったところか。

 ここで、彼女のステータスを見ておこう。



セリア

種族:海猫族

称号:エルカ迷宮踏破者

ファーストジョブ:受付嬢レベル29

セカンドジョブ:槍士レベル27

サードジョブ:水魔法使いレベル25

控えジョブ:剣士レベル4、料理人レベル3

HP:C(05/10)

MP:D(04/5)

闘気:C(05/10)

腕力:D(04/5)

脚力:B(02/30)

器用:C(08/10)


アクティブスキル:

『槍士』一閃突き、鉄体、スパイラルランス

『水魔法使い』ウォーターボール、ウォーターアロー、ウォーターフォール


パッシブスキル:

『受付嬢』事務処理能力向上、脚力強化、会話力上昇、パーティメンバーメンバー所持品紛失率低下、受付嬢の心得

『槍士』HP強化

『水魔法使い』MP強化

『エルカ迷宮踏破者』全能力値上昇(小)、閉所耐性上昇



 セリアは『槍士』と『水魔法使い』のジョブを持っている。

 これは、俺たちに同行し始めてから何度かアクティブスキルを使ってくれていた通りだ。


 そして、ファーストジョブは非戦闘系ジョブの『受付嬢』である。

 実は、MSCではなかなかのレアジョブだった。

 『鍛冶師』や『料理人』のような生産系ジョブはともかく、わざわざ『受付嬢』になろうとするプレイヤーは少なかったからだ。


 実際のところ、豊富なパッシブスキルを持つ一方で、アクティブスキルはない。

 その上、パッシブスキルも冒険にはあまり役立たないものばかりだ。

 MSCで人気がなかったのも頷ける話である。

 セリアが受付嬢を続けるなら、もちろん有用なジョブだが……。


「セリアは、俺たち『悠久の風』に加入してくれるんだよな?」


「はいですにゃ。そういう話だったのですにゃ」


 それなら、頃合いを見てファーストジョブを入れ替えよう。

 もう少しで上級ジョブの開放条件のレベル30に到達するし、それからでもいいか。


「期待の新人だな。セリアの活躍が楽しみだよ」


「まずは、皆さんの足を引っ張らないようにがんばりますにゃ」


 俺たちはそんな会話をしつつ、ついにエルカの町に帰還を果たしたのだった。

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