346話 ミッション達成
俺たち『悠久の風』の総力を結集して、ダンジョンコアの破壊に成功した。
「ご主人様が破壊されたダンジョンコアから、魔力が漏れてますね!」
「来るよ……! 膨大な魔力が!」
シルヴィとユヅキがそう叫ぶ。
ダンジョンコアから出てきた魔力が、俺たち『悠久の風』の面々に向かってくる。
「おおおおぉっ! キタのです!!」
「うおおおおっ!!!」
ミナとリンが叫ぶ。
魔物を討伐した場合、近くにいる者がその魔力を吸収する。
それには高揚感や快感が伴う。
ダンジョンコアから放出された魔力量は、そこらの魔物を討伐したときのものとは比べ物にならない。
飛び抜けた高揚感と快感が、俺たちを襲う。
「……いい……」
「はあぁ……。心地よいですわ……」
「生きてて良かったぜ……」
「……ふあぁ。気持ちいいですね」
「にゃ~」
ティータ、ローズ、グレイス、エメラダ、セリアがそんな声を漏らす。
この高揚感と快感は、おいしいものを食べたときとか、性交時のものとも似ているが、それ以上にも感じられた。
「ふうう……」
俺もそれを堪能する。
少しして、魔力の吸収タイムは終わった。
素晴らしい時間だった。
そして、もう一つ朗報がある。
ミッション
『悠久の風』全員でエルカ迷宮から生還せよ。
報酬:経験値(大)、魔石(大)
このミッションが達成済みとなっている。
今の位置は、ダンジョンのコアルームだ。
厳密に言えば、エルカ迷宮からまだ脱出できていないようにも思える。
これがこのタイミングで達成扱いとなったということは……。
「ふむ。エルカ迷宮の討伐に無事成功したようだな」
ダンジョンコアを破壊された迷宮は死ぬ。
魔物や宝箱が出現しなくなるし、トラップも作動しなくなる。
迷宮という場所はしばらく残るが、魔力の供給が途絶えたことにより収縮していき、やがて風化する。
産業のない地方であれば、コアの破壊を禁止して一種の産業として残す場合もある。
だが、ほとんどの地方では討伐が推奨されている。
放置し過ぎると、スタンピードという魔物の大量発生が引き起こされるからだ。
俺はミッション画面を操作し、報酬を受け取ろうとする。
(いや、待てよ……?)
検証したい事項が一つ思い浮かんだ。
この世界はMSCに準拠しているが、全てがまるっきり同じというわけではない。
重要なところの仕様の検証は大切なことだ。
まあ、検証ばかりしていてはジョブのレベル上げが疎かになるので、普段はほどほど程度にしているが。
今回の場合、とある事項に対してセリアの同意さえもらえれば、すぐにでも検証できる。
彼女を説得してみることにするか。
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