345話 ダンジョンコア

「ほう。これがダンジョンコアか」


 俺は目の前にある巨大な水晶玉のような物体を見ながらそう口にした。


「はいですにゃ。これこそが、ダンジョンの心臓部ですにゃ」


「なるほどな」


 MSCでも何度か見たことはあった。

 光景としては似たようなものだ。

 しかし、今回の方が感動が大きい。

 やはり、愛する仲間たちと危険を乗り越えて辿り着いたという達成感があるからだろうか。


「では、壊そう」


 俺は剣を抜いて構える。

 ダンジョンコアを破壊すれば、大きな力を得ることができる。

 迷宮を攻略した者の特権だ。


「ぬおおおぉっ! くらえ! 【エクスカリオン】!!」


 俺はさっそく、『英雄』の大技を発動させる。

 だが……。


「なにぃ!?」


 俺の攻撃は、あっさりと弾かれてしまう。


「ちっ! エルカ迷宮は、結構な大型ダンジョンだったな。これは骨が折れそうだ。みんな、手伝ってくれるか?」


「もちろんです! はあぁ! 【ハイパービーストストライク】!!」


「僕も行くよっ! 【ソードオブジャッジメント】!!」


 シルヴィとユヅキがそれぞれの大技を放つ。


「はあああぁっ!! 【ギガインパクト】! なのです!!」


「【雷華崩脚】だぜ!!!」


 ミナがハンマーを叩きつけ、リンが雷を纏った蹴りを放つ。


「……【ギガスラッシュ】……!」


「【ダブルアローショット】ですわ!!」


 ティータが斧を軽々と振り回し、ローズが鋭い弓を放つ。


「俺も行くぜっ! 【クイックラッシュ】!!」


 グレイスが素早い動きで、次々と攻撃を繰り出す。


「……えっと。【ダークネスブラスト】です」


 エメラダは控えめに魔法を放った。

 そして、最後はセリアだ。


「私もお手伝いさせてもらいますにゃ! 【一閃突き】にゃ!!」


 セリアは手に持った槍を素早く突き出す。

 なかなかに鋭い突きだ。

 やはり、できれば『悠久の風』のメンバーに欲しいな。

 いや、それを考えるのは後だ。


「これで仕上げだ! 俺の全ての気功と魔力を捧げてやる! はああああぁっ!! 【烈風一閃】!!!!!」


 最後に、俺が大技をお見舞いする。


「「「「「いっけー!!!」」」」」」


 みんなが応援してくれている。

 そろそろいけそうだ。


「くらええぇっ!!」


 俺は思いっきり剣を振り下ろした。

 ガキンッ!!!

 ズシャーン!!!!!

 凄まじい音が鳴り響く。


「くっ……」


 思わず声が漏れてしまった。

 だが、ダンジョンコアの破壊には成功した。

 壊れたコアから膨大な魔力が解き放たれていく。

 それらの多くは、近くにいる俺たちに吸収されることになる。

 さあ、お楽しみの時間だ。

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