337話 転移魔法陣にMPを注ぐ
強制転移のトラップが仕掛けられていた5階層の部屋に戻ってきた。
この強制転移からの帰還者だけが感知できる迷宮文字を読むと、この部屋にはダンジョンコアへと通じる転移魔法陣が存在することがわかった。
しかし、その転移魔法陣から漏れ出す光は弱まってきており、まもなく消えようとしている。
強制転移を受けて迷宮深層から帰還するだけでも大変なのに、時間制限まであるとは。
なかなか厄介な条件だ。
「よし、急いでこの魔法陣の上に乗るんだ」
「はい!」
「乗ったよ」
シルヴィやユヅキたちが次々と転移魔法陣の上に飛び乗り、最後に俺がその上に乗った。
すると、転移魔法陣が光り輝き始める。
「……むっ! この転移魔法陣は、乗った者のMPを吸収して起動するタイプか?」
「そうなのです? 確かに、なんだか吸われているような感覚があるのです」
「へへっ。ちょっと気持ちいいぜ」
ミナとリンがそう言う。
「少しくすぐったいように感じますわね」
「……ティータもちょっと……」
「ふにゃ~」
「……な、なんか変な感じですね」
ローズ、ティータ、セリア、エメラダの順にそんな感想を言う。
「いかんな。少しMP量が足りないようだ。みんな、魔力を放出するイメージをするんだ」
「でもよ、コウタ親分。ここでMPを消費してしまって大丈夫なのか?」
「うーん。正直、不安はあるが……。このままでは魔法陣が消えてしまうし、仕方ないさ。コアルームに行ける機会なんて、滅多にあることじゃない」
「その通りですにゃ。少なくともエルカの町近郊では、ここ10年以上ダンジョンの踏破者は出ていないのですにゃ」
俺の言葉に、セリアが同調する。
MSCですら、ダンジョンコアの破壊は中級者以上の証だった。
この世界においては、一流冒険者の証といって良いだろう。
「それにこの部屋には魔物はいない。MPを多少放出しても問題ないだろう。いざとなったら、俺が戦うさ」
俺はそう言ってみんなを安心させる。
チートの恩恵を最も受けている俺は、当然MPの量も多い。
中級以上が揃っている『悠久の風』の中でも、一番多い。
MPが枯渇してしまうことはないと思う。
「ご主人様がいらっしゃるので安心して全MPを開放します!」
「うん。コアルームに行くためだし、しょうがないよね」
「みんなで行って、ガッポリ儲けるのです!」
「へへっ。楽しみだぜ」
シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンがそう言う。
やはりみんな乗り気だ。
十分なMPを転移魔法陣に注ぎ込んで、何とか作動させたいところである。
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