309話 新しいミッション
「おらぁっ!」
「せいっ!」
「どりゃあ! なのです!!」
俺、ユヅキ、ミナで魔物を倒していく。
俺たち『悠久の風』は、エルカ迷宮の強制転移のトラップに引っかかり、ダンジョンの深層部に飛ばされてしまったのだ。
何とかして地上に戻る必要がある。
「ご主人様。この階層の魔物は全て倒しました。先に進みましょう」
シルヴィが俺にそう声を掛けてくる。
「ああ、そうだな」
俺が返事をしたときだった。
ピコン!
俺の脳内にシステムメッセージが流れる。
「ん?」
ミッション
『悠久の風』全員でエルカ迷宮から生還せよ。
報酬:経験値(大)、魔石(大)
「んん?」
俺は首を傾げる。
どうしてこのタイミングで?
いや、タイミングはどうでもいいか。
内容は……全員での生還。
それは言われずともやろうとしていたことだ。
しかし、わざわざミッションを出されるということは、実は結構なピンチなのだろうか。
チートにより高いジョブレベルを持つ俺たちなら余裕で生還できると思っていたが、気を引き締め直す必要があるかもしれない。
「どうしましたか? コウタ殿」
「……ん。少し顔が険しいよ……?」
ローズとティータが声を掛けてくる。
「いや……。なんでもない」
想定よりもヤバいかもしれないということを、みんなと共有すべきかどうか。
少し悩んだ。
しかし、不用意に報告して不安感を抱かせる必要もあるまい。
俺が自分に自信のないリーダーであれば、パーティメンバーと全ての情報を共有するという手もあるだろうが……。
俺はチートの恩恵を最もたくさん受けているし、MSCの知識や経験もある。
きちんとみんなを導き、生還させる自信はある。
「それより、みんな怪我はないか?」
「……えっと、はい。あたしは大丈夫です」
「俺も問題ないぜ。エメラダのポーションは効果てきめんだからな」
「へへっ! それに、ローズっちの治療魔法も最高だしな!」
「うむ。そうだな」
ローズの治療魔法に、エメラダが作成したポーション。
多少のケガで俺たちが行き詰まることは考えにくい。
「よし、先に進もう」
俺はそう言って歩き出す。
その後、何回か戦闘を繰り返しながら進んでいく。
そして……。
「今日はここまでにするか」
俺はそう言って歩みを止める。
「少し早くないかな? もう少し進めると思うけど」
ユヅキがそう言う。
「ああ。だが、ここはダンジョンの中だからな。みんなが安心して休憩できるように、やっておきたいことがあるんだ」
俺はそう答える。
「やることってなんですか?」
シルヴィが質問してくる。
「ふふふ。これを使うのさ」
俺はストレージからとあるものを取り出す。
冒険者活動のために購入したものだが、思いもよらぬ方法で役に立ちそうだ。
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