262話 採取依頼達成

 エルカ樹海で薬草採取を終えた俺たち『悠久の風』は、町に戻ってきた。

 そして、さっそく受付嬢のセリアに報告することにした。


「ずいぶん早いお帰りですにゃ。やはりBランクのコウタさんが率いる8人パーティなら、それほど難しい仕事ではなかったですにゃ?」


 セリアは首を傾げる。


「まあ、想定していたぐらいの手間だったな」


 みんな強いので、魔物への対処で大きく手間取ることはなかった。

 人数が8人と多い上、それぞれ体力もある。

 薬草採取ぐらいは簡単な仕事だ。

 強いて言えば、採取関係のジョブを持っている者がいないことが少しだけ問題だろうか。


「さすがはコウタさんですにゃ。お疲れさまですにゃ」


 セリアは笑顔で言う。


「ああ。さっそく確認してもらえるか?」


 俺たちは採取してきた薬草を、カウンターの上に並べた。


「はい。わかりましたにゃ」


 セリアがひとつずつチェックしていく。


「……ん? これは珍しいですにゃ」


 彼女は、ある一種類の草を手に取った。


「ホワイトフラワーですにゃ。よく見つけてきてくれましたにゃ」


「そうだな。グレイスが見つけてくれたんだよ」


「コウタ親分のためなら、これぐらい朝飯前だぜ!」


 グレイスはそう言って、親指を立てる。


「なるほど……。やはり『悠久の風』に加入される方は、ただものじゃないですにゃ」


 セリアが感心したように言う。

 グレイスも俺の『パーティメンバー設定』の対象者になっている。

 『ジョブ設定』スキルにより複数のジョブを設定した上で、『パーティメンバー経験値ブースト』スキルにより増量された経験値がどんどん入っている。

 グレイスの元々の能力も悪くはなかったが、ここ最近で見る見る内に実力が向上しているところだ。

 そんなことを考えているうちに、すべての鑑定が終わった。


「はい。すべてオーケーですにゃ。今回の報酬はこちらになりますにゃ」


 そう言って、セリアは袋を差し出してくる。


「ありがとう」


 俺は礼を言いながら、それを受け取っていく。


「それと、今回は特別な依頼をこなしてきてもらったので、追加のボーナスをお渡ししますにゃ」


「おお! 例のサービス券か!」


 グレイスが大きな声を出す。


「はいですにゃ。明日以降に、町外れの調合屋に行ってみるといいですにゃ。店長のエメラダちゃんが、お待ちかねですにゃ」


「わかった。行ってみるよ」


 俺は答える。


「調合屋ですか。店長は『調合士』のジョブ持ちなのでしょうか」


 シルヴィが興味深げに訊ねてくる。


「おそらくな。期待できそうな感じだぞ」


「楽しみですね」


 シルヴィは微笑む。

 こうして、俺たち『悠久の風』は薬草採取の依頼を無事に達成したのだった。

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