228話 終わり

 カイゼルに、俺とグレイスの仲を見せつけているところだ。


「くくく……。カイゼル、グレイスは俺のものだぜ」


「…………」


 カイゼルは答えなかった。

 ただ、虚空を見つめているだけだ。

 目の前で女を寝取られたショックが大きいようである。


「ふふふ。これで、俺とグレイスの関係を完全に理解しただろう? お前にはもう二度とチャンスはないんだよ。おとなしく鉱山で働くがいい。グレイスのことは俺に任せておけ」


「んっ……。コウタ親分……。好き……」


「俺もだよ、グレイス」


 俺は優しく微笑みかける。

 これでカイゼルの件は終わりでいいだろう。


 俺がそんなことを考えたとき……。

 ドォンッという音がして、木が倒れ込んできたのだった。

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