180話 最新ステータス コウタ 後編
アルフヘイムへの道中で、みんなの最新ステータスを確認しようとしているところだ。
まずは、俺自身のステータスを見ている。
「魔法使い系統のジョブはバランスよく伸ばしていこう……」
フィフスジョブとシックススジョブには、それぞれ『火魔法使い』と『土魔法使い』を設定している。
『氷魔法使い』と『雷魔法使い』を合わせて、この4つの魔法系ジョブはバランスよく伸ばしていくつもりだ。
……え?
バランスよく伸ばして何か意味があるのかって?
実戦上のメリットがないこともないが、正直なところ微妙だ。
例えば、『風魔導師』と合わせて5つの魔法系ジョブを設定して魔法特化の編成にすることも可能ではある。
その場合、パッシブスキルの『MP強化』が重複してよりたくさんのMPを魔法に込められるようになる。
とはいえ、極端に高威力の魔法を使えるようにはなるわけではない。
状況に応じて様々な属性の魔法を使い分けられるのは安定した強さがある。
しかし、いわゆる器用貧乏になる可能性も高い。
実戦上の強さを求めるのであれば、特定のジョブを集中的に上げていった方がいい。
それなのに、なぜバランスよく魔法系ジョブを伸ばしていくのか?
答えは、それぞれの上級ジョブの開放、そして特殊な最上級ジョブの開放だ。
それぞれの魔法系ジョブをレベル30まで伸ばせば、『火魔導師』や『土魔導師』などの上級ジョブを獲得できる。
それだけにとどまらず、複数種類の魔導師系ジョブを一定レベル以上に伸ばせば、最上級ジョブが開放されるのだ。
俺が狙っているのはそれである。
気の長い話ではあるが、魔法系ジョブのレベルは地道に上げていくのがいいだろう。
「控えの生産系ジョブは、当面の間はこのままでいいだろう……」
俺が取得済みの生産系ジョブは、『鍛冶師』と『料理人』だ。
これらはミナやリンに任せておけばいい。
今後訪れる町でのイベントや展開次第では俺も伸ばす可能性があるが、現時点では魔法系ジョブのレベル上げよりも優先度は下である。
「称号は……」
『ドラゴンスレイヤー』の称号がちゃんと追加されている。
これは見ての通り、全能力値が少しずつ上昇する恩恵がある。
それに加えて、竜種との戦闘時に攻撃力と守備力が上昇する。
今後ブラックワイバーンと同程度の竜種と戦ったら、安定した戦いができるだろうな。
また、『テツザン杯優勝者』という称号も追加されていた。
MSCにはなかった称号だ。
そもそも、この世界とMSCはシステム面で類似しているものの、町や人物については全く異なるからな。
MSCにテツザンという町はなかったし、当然テツザン杯なんていう大会は存在しなかった。
とはいえ、各種の武闘大会、剣術大会、魔法大会、異種総合大会などはMSCでも開催されていた。
それらの大会で一定以上の成績を収めると称号が獲得できた。
この世界においても、MSCと似たようなイメージでこういった称号も取得できるようだな。
『テツザン杯優勝者』は、見ての通りステータスにちょっとした補正がかかる。
『ドラゴンスレイヤー』の方が効果が大きいが、これは称号の取得難易度やレア度による違いだろう。
大した補正ではないとはいえ、あって困るものではない。
今後もこういった大会があれば積極的に出るのがいいだろう。
「システムスキルもちゃんと追加されているな……」
ミッション報酬の『レアドロップ率上昇』だ。
文字通り、魔物を倒したときのドロップ品について、レアなものが出やすくなるスキルである。
以前、オリハルコンを求めてエルカ迷宮の1階層のボスであるゴーレムを周回したことがあった。
あのときにこの『レアドロップ率上昇』のスキルがあれば、もう少し楽にオリハルコンを集められただろうな。
現時点では、特定のレアなドロップ品を求めてはいない。
しかしもちろん、あって困るスキルではない。
俺たちにとって使い道がなくとも、レアなドロップ品は売ればそれなりの収入になるからな。
「いい感じだ……。いずれはAランクにもなれそうだ。いや、シルヴィやユヅキたちの個人ランクをBに上げるのが先か……?」
俺の最新ステータスについての整理はこんなものだろう。
各種チートにより、俺の戦闘能力やシステム面でのサポート態勢は盤石なものとなりつつある。
『悠久の風』の未来は明るい。
ハーレムメンバー全員を幸せにすることも可能なはずだ。
続いて、そのシルヴィやユヅキたちのステータスを再確認していくことにするか。
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