159話 そ、それだけは許してくださいまし

「そ、それだけは許してくださいまし」


 ローズが必死に懇願してくる。


「なぜだ?」


「貴族として、お嫁に行けなくなってしまいます!」


「問題ない。俺の妻になればいいのだ」


「そんな……いきなり困ります……」


 つれないねえ。


「お前はもう俺の女だ。諦めろ」


 俺はそう言う。


「いずれ、ローズさんもご主人様のすばらしさに気づくでしょう!」


「うーん……。本気で嫌がっているなら助けるべきなんだろうけど……」


 シルヴィとユヅキがそう言う。

 ローズに強引に迫った俺は女の敵なわけだが、彼女たちが俺を止める様子はない。

 日頃から交友のある俺の味方だ。

 それに加え、ローズの抵抗が口だけというのもある。


「……ローズちゃん、よかったね。こういうのに興味津々だったもんね……」


 トドメに、ティータからそう一言が掛けられる。

 もはやこの場にローズの味方はいない。

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