148話 準決勝戦 リンvsディアロ
武闘大会の続きだ。
俺は準決勝戦で無事に勝利を収め、決勝戦へと駒を進めた。
今から、もう一つの準決勝戦が行われようとしている。
「両者向かい合って構えてぇ~。レディィイ、ファイッ!!」
戦いが始まった。
「先手必勝!」
先に仕掛けたのはリンだった。
軽快に回し蹴りを放つ。
「ぬうんっ!」
しかし、ディアロはそれを軽々と受け止めてしまう。
「ちっ、硬ええ!」
「ふんっ!」
ディアロがそのまま押し返す。
「うおっ!?」
リンは後方に飛ばされるも、うまく着地した。
「なかなかいい動きをする。だが、俺の攻撃は防げまい!」
ディアロが拳を繰り出す。
ドゴォン!
「ぐあっ!?」
リンはまともにくらってしまった。
「リン選手、大丈夫かーーー!?」
実況のデボラがそう叫ぶ。
「おい! 今のは本気で殴ってただろ!」
「女の子になんてことしやがる!」
観客席からヤジが飛ぶ。
「外野は黙っていろ。手加減をして勝てる相手ではない。これは真剣勝負なのだよ」
ディアロは冷たく言い放つ。
その間に、リンは立ち上がった。
「へへっ。確かにその通りだな。お前の言うとおり、これは真剣勝負だ。あたいも本気で行くぜ!」
リンがそう言うと、全身が光り輝き始めた。
「むっ。何だ、それは?」
「ふっ。これが金兎族の奥義だ! 喰らいやがれ!」
「うおぉっ!?」
ドンッ!!
強烈な衝撃音とともに、リンが突進していく。
「こいつ、速い!」
ディアロが必死に対抗しようとするが……。
「遅いぜ!」
リンが目にも留まらぬ速さの連続攻撃を放つ。
「くっ! このっ!」
さすがのディアロも防御するので精一杯のようだった。
「す、すごいのです。コウタくん、あれは何なのです?」
ミナがそう問う。
「ああ。あれは『獣化』だよ。『獣闘士』のジョブを一定以上に上げることで取得できるスキルだ」
俺はそう説明する。
俺やミナには取得できないスキルだが、リンは取得済みだ。
また、シルヴィやユヅキは今後取得できる可能性がある。
ちなみに『獣化』とは言っても完全に獣になるわけではない。
獣人としての獣の特性がより強く出るようなイメージだ。
「すごいスキルですね! わたしも使えるようになっていれば、もっと勝ち進めたかもしれません」
「そうだね。僕もレベル上げを頑張ったんだけど……」
シルヴィとユヅキが悔しそうな表情を浮かべる。
惜しくも、今回の大会には間に合わせられなかった。
しかし、ジョブレベルを上げたことは今後の冒険者活動でも役に立つはずである。
「二人ともまだこれからさ。今はリンの戦いを見守ろう」
俺はそう言って二人を宥める。
「わかってるよ。リンちゃん、がんばれーっ!!」
ユヅキが声援を送る。
「がんばってください!」
「応援してるのです!」
「リンなら勝てる! 信じてるぞっ!!」
シルヴィ、ミナ、俺が続けて声援を送る。
今の有利な戦況を維持できれば、勝つことも可能だろう。
俺は彼女の勝利を信じて、試合を見守ることにする。
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