65話 リトルブラックタイガーの肉を入手
エルカ迷宮の2階層にて、『悠久の風』の5人が無事に合流したところだ。
「さて。みんな疲れているだろう。今日のところは帰るか」
「そうですね! ご主人様に万が一のことがあってはいけませんから」
シルヴィがそう同意する。
「リトルブラックタイガーの肉はまた今度だな……。あたいのミスが原因だから、文句を言うつもりはねえけどよ……」
リンがそう言う。
彼女の目的はリトルブラックタイガーの肉だ。
エルカ迷宮の2階層にまで来ておいて、目的のものを得ないまま撤退するのは少し残念に思っているのだろう。
「ええっと。そのことだけど、コウタたちとはぐれてから狩ったリトルブラックタイガーから、肉がドロップしたよ。量はあまりないけど……。ねえ、ミナさん」
「はいなのです。これなのです」
ミナがそう言って、一塊の肉を差し出す。
リトルブラックタイガーの肉だ。
「それはよかった。さらに、俺からもいいニュースがある。モンスターハウス内で討伐したリトルブラックタイガーからも、肉がドロップしていたんだ」
俺はそう言って、肉をストレージから取り出す。
戦闘中にすばやく回収したので、リンは気付いていなかったはずだ。
「おお! これだけありゃ、コンテスト本番に出す量には足りるぜ! それに、少しだけ余りそうな分は事前の練習にも使えそうだ。みんなのおかげだぜ」
リンが喜ぶ。
1日の狩りで、2回もドロップするとはラッキーだったな。
本来は、もう少しドロップ率が低いはずだ。
……ん?
おお!
ステータス画面上における、リンの名前の表記が黒色に変化している。
彼女が『パーティメンバー設定』の条件を満たしたようだ。
これで、いよいよ残っていたミッションを達成できる。
ミッション
『悠久の風』のパーティ人数を5人にせよ。
報酬:魔石蓄積ブースト、経験値(小)
このミッションを達成するために、さっそくリンに『パーティメンバー設定』を実行するか?
……いや、今はやめておこう。
この疲弊した状況下でややこしいことをすれば、この後の動きに悪影響を及ぼす懸念がある。
まずは無事にエルカの町に帰還することを優先しよう。
そして、たっぷり休養した後に、エルカ草原あたりで説明すればいい。
リンを『悠久の風』に組み込めれば、今後の冒険者活動がさらに捗る。
『パーティメンバー経験値ブースト』により、彼女の成長速度が増すからな。
まずは、ミナが希望している追加のオリハルコンを入手するために、エルカ迷宮1階層のボスであるゴーレムを周回するのがいいだろう。
ミナに加えてリンの成長速度が増せば、周回していくうちにどんどん効率は上がっていく。
オリハルコンを入手することも可能なはずだ。
十分な量のオリハルコンを入手できれば、次はまたこのエルカ迷宮2階層に来てもいい。
リンの料理コンテストの本番に出す量は確保できたそうだが、事前練習の分としてもっとあって困ることはないだろう。
俺はそんなことを考えながら、みんなとともにエルカの町に戻り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます