33話 パーティメンバー設定 ユヅキ
ユヅキとともに冒険者活動を始めて、数日が経過した。
彼女を加えたエルカ草原での狩りは、順調である。
だが、今のところは、彼女をシステム上のパーティには勧誘していない。
普通に狩りに同行してもらっているだけである。
彼女をシステム上のパーティに勧誘すべきかどうか、悩みどころだ。
彼女を勧誘するデメリットは、情報漏えいだ。
システム上の『パーティメンバー設定』のスキルは、一般的には広まっていない能力だからな。
俺がまだ強くなっていない間は、できる限り情報は秘匿しておきたい。
彼女を勧誘するメリットは、パーティの戦力増強だ。
現時点でも、彼女は確かな戦闘能力を持つ。
冒険者ランクも俺やシルヴィと同じDだ。
さらに、システム上のパーティに設定されれば、『パーティメンバー設定』と『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵も受けることができる。
そうなれば、俺やシルヴィのように急成長に期待できる。
これらのメリットとデメリットをどう評価するか。
どうせ、長くても2か月くらいの臨時パーティである。
メリットに比べてデメリットのほうがやや大きいかと感じるところだ。
しかし、その2か月という期限を撤廃できれば、メリットとデメリットのバランスは覆される。
彼女がずっと俺たちと行動をともにするのであれば、『パーティメンバー設定』と『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵による急成長のメリットが大きくなる。
それに、行動をともにすることで信頼関係が育まれ、彼女が俺のハーレムメンバーに入る可能性もある。
「ユヅキ。この数日で思ったことなんだが、ずっと俺たちとともにパーティを組むのはどうだろう? シルヴィもユヅキとは合わせやすいと言ってくれているし」
「そうですね! ユヅキさんとなら、ご主人様をともにお支えしていくことができそうです!」
「え、ええっと。その言葉はすごく嬉しいけど……。ユーヤたちとも相談しないといけないし。前向きに検討しつつ、しばらくは様子を見ようかな」
ユヅキがそう言う。
確かに、わずか数日で答えを出すのは早計か。
だが、手応えは悪くなさそうである。
俺は思い切って、『パーティメンバー設定』スキルでユヅキをパーティに勧誘する。
「んんっ!? なんだろ、これ……。コウタ、何かしたの?」
「どうした?」
「『コウタのパーティに勧誘されています。受諾しますか?』だって。何これ?」
やはり、ユヅキもシステム上のパーティメンバー設定のスキルは知らないようだ。
「ああ。とりあえず、『受諾する』と言ってくれ」
「ううーん。よくわからないけど、コウタがそう言うのなら。……『受諾する』」
ユヅキがそう言ったと同時に、俺の操作画面の表記が切り替わった。
パーティ名:未設定
リーダー:コウタ
サブリーダー:シルヴィ
メンバー:ユヅキ
新しくユヅキの名前が加わった。
ここで、まずは俺とシルヴィのステータスを改めて確認しておこう。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:風魔法使いレベル13
セカンドジョブ:剣士レベル12
サードジョブ:氷魔法使いレベル5
HP:E++++
MP:C
闘気:E+++
腕力:E++++
脚力:E++
器用:E++++
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
パーティメンバー設定
パーティメンバー経験値ブースト
アクティブスキル:
ウインドカッター
エアバースト
ラッシュ
アイスショット
パッシブスキル:
腕力強化
シルヴィ
種族:白狼族
ファーストジョブ:獣戦士レベル10
セカンドジョブ:氷魔法使いレベル6
HP:E++
MP:E++++
闘気:E++
腕力:E++
脚力:E+++
器用:E+
アクティブスキル:
アイスショット
ビーストストライク
パッシブスキル:
脚力強化
俺もシルヴィも、いくつかのジョブレベルが少し上がった。
エルカ草原での日々の狩りと、少し前のアーノルドやレオンとの稽古も関係しているだろう。
『経験値ブースト』、『パーティメンバー設定』、『パーティメンバー経験値ブースト』があるため、俺たちのレベルアップ速度は速い。
次に、ユヅキのステータスを確認する。
ユヅキ
種族:茶犬族
ファーストジョブ:獣剣士レベル9
セカンドジョブ:未設定
HP:E+
MP:E
闘気:E+
腕力:E+
脚力:E+++
器用:E++
アクティブスキル:
ビーストラッシュ
俺の『パーティメンバー設定』と『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵を今までは受けていなかったため、ジョブレベルはさほど高くない。
とはいえ、初級冒険者として経験を積んできただけあって、初期レベルとしてはシルヴィよりも高い。
これからどんどん狩りをすれば、レベルも上がっていくだろう。
狩りでレベリングもいいが、それと同時にやっておきたいこともある。
土魔法使いのジョブの取得だ。
ちなみに、俺やシルヴィが土魔法使いを取得することは可能だし、ユヅキが氷魔法使いを取得することも可能だ。
白狼族が氷魔法使い向けだとか、茶犬族が土魔法使い向けだというのは、あくまで適正の話である。
具体的には、最初のジョブの取得のしやすさと、その後のジョブレベルの上がりやすさに関係してくる。
ユヅキが氷魔法使いのジョブを取得して伸ばしていくことも可能だが、ムリに適正外のことをしてもらう意味はあまりない。
やはり、彼女には土魔法使いのジョブを取得してもらうのがいいだろう。
俺は土魔法使いのジョブの取得方法に思いを馳せる。
これはこれで、風魔法使いや氷魔法使いに勝るとも劣らないファンキーな取得方法なのだ。
はたして、ユヅキは怒ったり照れたりせずにやってくれるだろうか。
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